1968年 東京生まれ。映像・写真・フィールドレコーディングによる制作を行う。
自身の作品制作とともに、さまざまなプロジェクトにおける、企業、建築、電子音楽、非線形科学、情報デザインとの共同作業を多く手掛ける。近年の活動として、東浩紀が編集長をつとめる『思想地図β』誌での福島およびチェルノブイリにおける一連のドキュメント、代官山ヒルサイドテラスと周辺地区を継続的に撮影しているプロジェクト《Hillside Scenery》、2014年春にリリースされた池上高志、永井一史、岡瑞起、evalaらと共同制作した、電子書籍『MTMDF』(HAKUHODO DESIGN)などがある。2015年には、近年取組んできた都市空間を捉えた連作の写真集の刊行が予定されている。
新津保建秀 ウェブサイト
グループ展
- 2014年
- 「光るグラフィック」展 クリエイションギャラリーG8 東京
- 2013年
- 「フクシマへ門をひらく—福島観光地化計画」展 ゲンロン 東京
- 2012年
- Possible Water コモンズとしての未来 ドイツ文化センター 神奈川
- 2011年
- メディア芸術祭ドルトムント展2011 ドルトムントU ドルトムント
- 2011年
- 堂島リバービエンナーレ2011 堂島リバーフォーラム 大阪
- 2011年
- 第14回文化庁メディア芸術祭 国立新美術館 東京
- 2007年
- リスボン建築トリエンナーレ “Archtectual Tokyo in Photo Photography” Travessa do Carvelho リスボン
個展
- 2013年
- チェルノブイリマテリアルズ オンサンデーズ 東京
- 2012年
- \ 風景+ Hillside Forum 東京
- 2011年
- Spring Ephemeral FOIL gallery 東京
- 2010年
- Rugged TimeScape FOIL gallery 東京(池上高志との共作、第14回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品)
- 2005年
- 記憶 Nadiff 東京
作品集
- 2013年
- \ landscape_archive_7.5 角川書店
- 2012年
- \ 風景 角川書店
- 2011年
- Spring Ephemeral FOIL
- 2008年
- GOTH/モリノヨル 角川書店
- 2005年
- 夏* マドラ出版
- 2005年
- 記憶 FOIL
関連書籍
- 2013年
- 思想地図βvol.4:チェルノブイリ・ダークツーリズムガイド
- 2012年
- 思想地図βvol.3:日本2.0
- 2011年
- 思想地図βvol.2:震災以後
- 2010年
- 思想地図βvol.1:ショッピング/パターン
- 2008年
- InterCommunication No.64 音楽/メディア NTT出版
- 2007年
- 建築と写真の現在 TNプローブ
新津保建秀は2000年代前半より、写真というメディアを中心とした表現を通じて、私たちをとりまく新たな自然とも言うべき情報環境と、風景の関係について考察してきた。「アーカイブ / 余白 / 建築」と題する本展は、近年、建築家や美術家などからの要請に応じて撮影した写真群のアーカイブの——とりわけ彼の創作活動において主要な位置を占めてきた建築とその周縁の——画像から構成するものである。
人工物が備えもつ諸要素の微細な挙動を捉えた新津保の風景は、いわゆる「建築写真」に所与の作家性(計画主体の意図)や芸術性(意匠の美意識)から解き放たれ、物質が定着に向けて移行する過渡状況への強固なまなざしに貫かれている。
時間を形象化するかのような目論見は、2012年の写真集『\風景』でひとつの結実を見るが、長期にわたる同書の制作過程において共同作業を行った複雑系科学の研究者・池上高志が、いみじくも「光学的無意識」(『美術手帖』2012年8月号)と評したように、その視座はいまだ私たちが感得しえない知覚の深層へと向けられている。
新津保が捕捉する画像の集積(アーカイブ)は、空間把握の新たな地平を開くものになりうるか——。その一端を供する本展は、建築を対象とした現在計画中の出版物の、スタディの一過程を提示するものである。