SONY

ソニーイメージングギャラリー 銀座

上原ゼンジ 作品展 My Neighbor Cosmos となりの宇宙

自分のすぐそばにある小さな宇宙を発見したい。身近過ぎて、当たり前過ぎて気づかないものへ、惑星探査をするような客観的な視線を送り、新たな星を見出す。そして、それらの新星を今までになかったような方法で再現するのだ。
禅には「芥子の中に須弥山あり」という考え方がある。須弥山とは古代インドの聖なる山のことで世界の中心を表し、芥子粒は小さなもののたとえだ。つまり、芥子の種のような小さなものの中にも、宇宙的な存在が含まれているということになる。
私には手のひらの細胞のずっとずっと奥のミクロの世界は、自分を取り巻く宇宙の涯へとつながっているんじゃないか、というような感覚が小さな頃からあった。だから小さな世界を探求すれば、それはその向こう側の大きな宇宙へとつながり、より本質的な部分へとたどりつけるのではないかと感じるのだ。
目の前の現実よりも自分のすぐ隣にある宇宙に、よりリアリティを感じる瞬間がある。その小さな宇宙の中には、日々の屈託や喜び、そしてすべての問題が詰まっているのだ。

上原ゼンジ

今回の展示で用いられる撮影技法

会場には、お客様ご自身のカメラやスマートフォンで簡易型の「宙玉」や「万華鏡」を用いた撮影体験をしていただけるコーナーを設置します。お子さまもご一緒にお楽しみいただけます。

宙玉(そらたま)

2009年に上原ゼンジが考案した撮影システム。透明球をレンズ前に取り付けることにより、宙に浮かぶ玉に映る光景を撮影することができる。

  • 宙玉を使って撮影した「ねこ玉」。宙玉を使用するといろんな被写体を透明球の中に閉じ込めることができる。
  • 上原ゼンジ考案の「soratama 72」
  • 「soratama 72」をカメラに装着したところ。接写リングを使うことにより、玉にピントが合うようになる。

万華鏡写真

写真撮影に適したサイズの万華鏡を手作りし、さまざまな被写体を万華鏡のパターンとして撮影する。

  • 手作りの万華鏡をカメラに装着した状態。通常の万華鏡は、のぞき穴が小さいため、撮影に適した万華鏡をつくる。
  • 被写体はなんでもいい。ビーズやガラスのかけらなどが手軽だが、生花なども撮影できるのがこの万華鏡のいいところ。

惑星シリーズ

魚眼レンズなどを利用し、身近な世界を惑星に見立てるシリーズ。

円窓(まるまど)シリーズ

このシリーズは透過光で撮影をしている時に思いついた。仕組みとしては長めのレンズフードを自作し、中に色の着いた紙を貼っている。撮影をするとそのフードの内側も写りこんでしまうのだが、それが寺院の円窓から庭を覗くような効果になっている。逆光での撮影なので通常は被写体がシルエットになってしまうのだが、それを明るく撮影し、透過光の鮮やかなイメージに仕上げた。

上原うえはら ゼンジ プロフィール

1961年さいたま市生まれ。実験写真家。美学校考現学研究室にて赤瀬川原平に学ぶ。超芸術トマソンの探査に参加することにより写真に興味を持つ。同時期に本の雑誌社に”助っ人”として出入りし、そのまま編集者として入社。「あやしい探検隊」にも“ドレイ”として参加する。1986年、写真集団「FOTO SESSION '86」に参加。森山大道に2年間写真を見てもらう。森山の影響から写真家を志し、本の雑誌社を退職する。2001年、JPCカラーマネージメント部会およびMD研究会に所属し、他のメンバーとともにカラーマネージメント知識の普及に務める。2009年、「宙玉レンズ」を考案。現在は製品化され、海外でも販売されている。

上原ゼンジ オフィシャルサイト

著作

2014年
『Circular Cosmos ーまあるい宇宙』 桜花出版
2012年
『こんな撮り方もあったんだ!アイディア写真術』 インプレスジャパン
2008年
『うずらの惑星 —身近に見つけた小さな宇宙』 雷鳥社

写真展

2010年
「手ぶれ増幅装置、その他の実験」 (街道リぼん)
2009年
「実験写真家 上原ゼンジの世界」 (NADAR/OSAKA)
2008年
「FANTASTIC REALISM 夢遊する現実」 (エプサイト)
1996年
「Nude」 (PLACE M)