Delay Time(ディレイタイム) |
ソーティングに際し、レーザー光の照射位置と水柱が液滴になる最後の位置( Break off point 、ブレークオフポイント)までの距離の間に何滴分の液滴が含まれるかを計測した値。 液滴形成周波数を乗算して、時間に変換して用いる。不正確だと、ソーティングの純度や回収率を低下させる。近年は、自動計測する機能が内蔵されたセルソーターが登場。 |
DNA Index (DI, DNAインデックス) |
異数体(DNA Aneuploidy)の正常二倍体に対する比率。 DI=1.0は2倍体、 DI=2.0は4倍体に相当する。 |
DNA Aneuploidy |
フローサイトメーターで検出された異数体(染色体の本数異常)を示す。染色体分析で実際に検出された異数体と区別するため、 DNAという言葉を頭につける。 |
Dichroic Long Pass Filter (DL、ダイクロイックロングパスフィルター) |
指定した波長より短い光を反射し、それよりも長い波長を透過させる光学フィルター。光路に対して通常45°で用い、蛍光を二方向に分ける。 |
Diploid |
倍数性。倍数体基本数の2倍の染色体数。 DNAが正常な細胞。 2Nとも呼ばれる。 |
DSP (Digital Signal Processor) |
高速化したシグナル処理専用のICチップ。デジタルフローサイトメーターには高分解能のA/Dコンバーターとともに、必須のパーツ。 |
Dual Laser (デュアルレーザー) |
2本のレーザーを搭載すること。サンプルを励起波長の異なる蛍光色素で多重染色をした場合、 2種の波長の異なるレーザーで励起する必要がある場合がある。照射には、異軸と同軸の2種類の方法がある。異軸の場合、検出に時間差があるため、厳密なシグナル処理回路と流速管理が必要になる。 |
FC (Fluorescence Concentration) |
蛍光強度を、細胞体積または核体積で割ったパラメーター。細胞内イオン濃度やDNA核密度としての測定パラメーター、細胞質内抗原密度パラメーターなどになる有用なパラメーターである。細孔電気抵抗法(コールター原理)を搭載したフローサイトメーター独自のパラメーター。 |
FCM |
フローサイトメトリーまたはフローサイトメーター。 |
FCS |
フローサイトメトリーで用いられる標準規格のデータフォーマット。3.1が最新版。 |
FL(蛍光) |
蛍光Fluorescence。通常、フローサイトメーターは4個から20個程度の蛍光用検出器を有する。短い蛍光波長の検出器から順にFL1,FL2,FL3,FL4と呼ぶこともある。 |
FMO |
Fluorescence Minus One。マルチカラー測定時の蛍光補正のコントロールサンプル。抗体を1種類だけ抜いたサンプルを測定する。 |
F/P比 |
1抗体あたりに標識される蛍光色素の結合の比率。FITCなどの低分子蛍光色素の場合、F/Pは約2~5になるが、APCやPerCPなどの高分子蛍光物質の場合、立体障害により結合できる分子数が1個なり、F/Pは1になる。 |
FRET (Fluorescence Resonance Energy Transfer) |
蛍光共鳴エネルギー移動。分子内、または近接した位置にある2種類の蛍光色素に、短波長の蛍光色素に適した励起光を照射すると、短波長の蛍光色素からの蛍光のエネルギーが、長波長の蛍光色素の励起に使用され、長波長の蛍光がでる現象。蛍光波長と励起波長の重なりと、2分子の距離、配向性が重要。FRETを用いて、生細胞内のタンパク質の相互作用をFCMでも解析することが可能。タンデム色素はこの方法を利用。 |
FS(前方散乱光) |
レーザー光がサンプルに当たったときに直進方向の低角度に散乱する光。 細胞の大体の大きさを反映する。FSC(Forward Light Scatter)とも呼ぶ。 |
FSマスク |
前方散乱光測定に際し、レーザー光が直接入るのを避けるマスク。通常、レーザー直進方向のFS検出器についている。 なお、この直進光をそのまま測定すれば、透過光測定になる。 |
FSD (Fluorescence Surface Density) |
蛍光強度を細胞表面積で割ったパラメーター。細胞表面抗原密度パラメーターになる。細胞表面積は、細孔電気抵抗法(コールター原理)を搭載したフローサイトメーターの細胞体積を、球相当表面積として換算する。 |
LASER(Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation、レーザー) |
光の方向、波長および強度が一定の光。 フローサイトメトリーの一般的な光源として用いられる。 近年は、半導体レーザーや固体レーザーの技術が進歩し、ガスレーザーや水冷レーザーはほとんど使われない。 |
Laminar Flow (ラミナーフロー、層流) |
一定の速度と同一の方向性を持つ液流の流れ。 FCMはこの流れを利用してサンプルを一列に流す。 |
Laminar Sheath Flow |
層流のシース流を用いて、サンプル流(中心流)とシース流(柵流)が混合せず、サンプルを中心部に流すことができる。 |
Laser Blocking Filter(BK、レーザーブロッキングフィルタ) |
特定波長のレーザー光のみを遮断する光学フィルター。蛍光測定時に重要。 |
Latex Beads (ラテックスビーズ) |
大きさの均一な粒子で、蛍光を持つものもある。FCM機器の調整、QC、キャリブレーション、貪食能測定などに利用される。 |
Light Scatter(散乱光) |
レーザー光がサンプルに当たったときに生ずる散乱光。 厳密には回折光や屈折光を含む。直進方向の角度の散乱光を前方散乱光FSと呼び、細胞の大体の大きさを反映する。直角方向の角度の散乱光を側方散乱光SSと呼び、主に細胞内部構造を反映する。 |
Linear scale (リニアスケール、常数目盛り) |
フローサイトメトリーのグラフ表示における常数の目盛り。通常、DNA細胞周期解析など変化量の少ないパラメーターに用いられる。広い場合は、Log Scaleを使用。 |
Linearity(リニアリティ) |
実際の蛍光量と常数または対数目盛りでのチャンネル数との相関。機器の調整に必要。蛍光量などの定量分析の際に重要。 |
Log scale (ログスケール、対数目盛り) |
フローサイトメトリーのグラフにおける対数の目盛り。通常、変化量の大きいパラメーターに用いられる。通常のFCMの場合、1:10,000の範囲を表示。4 decade Logと呼ぶ。直線性が低いことがあるので注意が必要。近年は、5 decade Logが登場。 |
Long Pass Filter(ロングパスフィルター) |
ある特定の波長以上の光だけを通過させる光学フィルター。蛍光の分光に使用。 |
感度(Sensitivity) |
散乱光または蛍光の検出限界。検出器および検出系のS/N(シグナル/ノイズ)比が良いほど機器の感度が良い。 蛍光感度は、1細胞当りの蛍光分子数MESF (Molecules of Equivalent Soluble Fluorochromes)で表示。 |
逆行列法 |
蛍光漏れ込み補正の補正方法のひとつ。高速処理回路を用いて、リニアの生データを逆行列解析を行うことにより、主観の入らない高精度の蛍光漏れ込み補正が可能。 |
キュベットフローセル方式 |
レーザー光がクオーツキュベットフローセル内のサンプル流に照射され、その後、空気中でジェットになりソーティングを行う方式。感度に優れる。一般にサンプル流が太くなり、乱流が発生しやすく、高速高純度には向いていない。 |
蛍光色素 |
特定の細胞を検出するために用いられる蛍光物質。抗体などに結合して用いることもある。 DNA、RNA、タンパク、pH、GFPなど目的に応じて使い分ける。 |
蛍光補正(Compensation) |
2種類上の蛍光の測定(例:FITCとPE)に際し、それぞれの蛍光の波長が重なり合い検出器に漏れ込んだ場合、電気的または数学的に補正すること。 |
ゲルカップリング |
感度を向上させるため、フローセルと集光レンズの間に、屈折率の高いゲル状のオイル等を挿入し、開口係数を向上させる方法。 |
ゲーティング(Gating) |
測定したサンプル全体の内、目的の細胞集団を解析するため、ある指標(例:大きさ)について数学的な制限を設定すること。 |
光軸調整 |
水流(フロー)の中心に光(レーザー光)が照射されるように、レンズまたはミラー、フローセルを動かし、CV値の小さい位置を探す操作。通常、機器立ち上げ時に行う。光軸が固定された機器では、確認操作のみを行う。 |
抗体 |
抗体とは、抗原と特異的に反応する免疫グロブリン(Immunoglobulin=Ig)の総称で、2本の重鎖と2本の軽鎖が組み合わさって、Y字型をしているタンパクである。 |
コールター原理 |
Wallace H. Coulterが発明した、細孔電気抵抗法による自動微粒子数計測法。細胞体積と濃度を高精度で測定することが可能。 |
コンペンセーション |
漏れ込んだ蛍光の補正を指す。例えば、2カラー測定の場合、2種類上の蛍光の測定(例:FITCとPE)に際し、それぞれの蛍光波長が重なり合う場合、 互いの漏れ込み量を電気的または数学的に補正すること。近年は、各種の自動コンペンセーションが普及してきている。 |
サイトグラム |
フローサイトメトリーのデータ表示法のひとつ。測定された2つの指標(パラメーター)を X軸、Y軸にとり、 2次元座標軸上の1つの点(ドット)として表示する方法。 2パラメーターヒストグラムまたは、Scattergram、Dot Plot(ドットプロット)とも呼ばれる。 |
細胞周期 |
細胞は、DNA複製によって遺伝情報を倍加させ、これを細胞分裂によって2つの娘細胞に分配することによって、一定の遺伝情報を維持しつつ増殖を続ける。このような、DNA複製と細胞分裂の繰り返しを細胞周期と呼ぶ。細胞周期は、DNAが複製されるS期(DNA合成期)、DNAが2倍量のG2期、DNAが2倍になり細胞分裂の行われるM期、M期と次のS期との間のG1期、さらに休止期のG0期に分けられる。 核DNA染色をしてFCMで測定するのが一般的。専用解析ソフトウエアが必要。 |
サンプリング周波数 |
デジタル方式フローサイトメーターにおいて、連続的に変化する検出信号をデジタル変換する際の時間分解能。FCMの重要回路であるADCの性能の目安のひとつ。数え落としにも影響。 |
サンプル流(Sample flow) |
シースフローの真ん中を流れる細く絞り込まれたサンプル浮遊液の流れ。 |
自家蛍光 |
蛍光染色を施していない細胞から発せられる蛍光のこと。細胞自身が持つ蛍光を発するタンパク質や、培養の際に取り込んだものからの蛍光が疑われるが、装置自身の迷光や電子回路のノイズ、量子化誤差の可能性がある。一般に長波長(赤色)で励起すると、細胞由来の自家蛍光は低減する。 |
シースタンク |
シース液が入った耐圧タンク |
シース流(Sheath flow) |
ラミナーシースフローのうち、サンプル流を包むように外側を流れる支持液の流れ。 |
ジェット イン エア方式 |
レーザー光が空気中でサンプル流に照射され、その後、液滴になりソーティングを行う方式。純度に優れる。 |
シャットダウン |
フローサイトメーターを終了する操作。洗浄を行い、レーザーと本体電源をOFFにする。 |
スキャッタグラム |
2パラメーターヒストグラムのこと。狭義では前方散乱光と側方散乱光の2パラメーターヒストグラムを指すことがある。散布図。 |
ストークスシフト |
蛍光色素の吸収波長スペクトルと蛍光波長スペクトルの差。分子が光を吸収して励起状態になり、基底状態に戻るときに光を放出することが蛍光であるが、この際に分子振動などでエネルギーが失われると、蛍光は長波長側にシフトする。 |
スペクトル解析FCM |
蛍光波長解析が行えるフローサイトメトリー。従来のような蛍光色素の最大波長域の蛍光強度を測定するのではなく、32段階ですべての波長域の蛍光強度を測定する。 |
精度管理(Quality Control) |
サンプルの測定結果が正しく報告されること(正確度)、またはサンプルに変化がない限り繰り返し測定される結果に変化がないこと(精密度)を保証する一連のプロセス。 |
染色体ソーティング |
通常、クロモマイシンA3とヘキスト33342の2カラー染色をして染色体のソーティングを行う。 |
ソーティング(Sorting) |
フローサイトメトリーによる目的サンプルの分取。電場を用いて液滴を偏向落下させる方式が主流。 |
廃液タンク |
シース流およびサンプル流の廃棄を入れるタンク。バキュームラインにより廃液タンクに集められる。 |
バイオセーフティキャビネット(BSC) |
生物学的安全キャビネット(BSC)内に機器を設置することにより、病原体を含む可能性のサンプルをソーティングするときに発生する感染性エアロゾルや飛沫への曝露から作業者、実験室環境および材料を保護する。 |
パラレル方式 |
1台の装置に、複数のセンサーユニットやソーティングユニットを持ち、処理スピードを向上させる方式。 |
ピエゾ振動子 |
ソーティングに際し、水流を液滴に変化させるためノズルに 高周波の振動をかける装置。 |
光ファイバー |
ガラスなどで作られた光を伝える繊維状の伝送路。レーザーなどの光源からサンプルまでの誘導路として、従来のミラーやプリズムの代わりに用いられる。または、サンプルから生じた散乱光や蛍光を検出器まで誘導する際に用いられる。一般に短波長ほど光の減衰が大きい。 |
フローサイトメトリー (Flow Cytometry) |
細胞などのサンプルを層流を用いて、高速で定量分析する方法。顕微鏡に比べて、高精度・高感度でマルチカラー分析が行える。 |
フローサイトメーター (Flow Cytometer) |
フローサイトメトリーを用いた測定装置の総称。セルアナライザーとセルソーターを指す。狭義でセルアナライザーのみを指すことがある。 |
フローセル |
サンプル液およびシース液を包むクオーツ製、セラミック製またはプラスチックの角柱または円柱の流路。内径は50μm から400μm程度。 |
プロトコール ファイル |
サンプルの測定または解析条件を含むファイル。通常、目的のプロトコルファイルを使用することで、機器設定が終了する。 |
分解能 (Resolution) |
2つの集団を分離測定する能力。精度管理用ビーズを測定し、CV値が小さいほど分解能が高い。染色体やDNA分析の場合は、CV値を特に小さくする必要がある。 |
偏向板(Deflection plate) |
ソーティングに際し、プラスまたはマイナスに荷電した液滴を引き寄せるために±6000V程度の電圧がかけられる二枚の電極板。 |
真度(Precision) |
測定値と真の値の一致の程度を表します。正確さのこと。 |
精度(Accuracy) |
繰り返し測定した際の測定値のばらつきの程度を表します。 |
精確さ |
真度と精度を合わせた測定値の程度を表します。 |
標本数 |
データの数でnで表します。フローサイトメトリーは、標本数が多いのが特徴です。 |
合計 |
データの合計でTで表します。 |
平均値(Mean) |
データの平均です。合計を標本数で割り求めます。平均値は異常データの影響を受けやすい。 |
中央値(Median) |
データを順番に並べた時の中央に位置する値です。データ数が偶数の場合は、中央の二つの平均をとります。平均値より異常データの影響を受けず、その集団の特色を正確に表します。 |
最頻値(Mode) |
データの中でもっとも多く存在する値です。フローサイトメトリーの場合、ピーク値になります。平均値より異常データの影響を受けない。 |
最大値 |
データの最大の値でMaxと表します。 |
最小値 |
データの最小の値でMinと表します。 |
範囲(Range) |
範囲は、最大値と最小値の差で、レンジともいい、Rで表します。 |
分散(Variance) |
分散は、データのばらつき具合を示す値で、値が大きいほどばらつきは大きいことを意味します。Vで表します。偏差平方和を、標本数で割った値です。標本調査の場合は、(n-1)で割ります。 |
標準偏差(Standard Deviation) |
分散の平方根です。uで表します。 |
変動係数(CV値) |
標準偏差を平均値で割った値CVです。標準偏差では、バラツキが大きいのか小さいのかわかりません。そこで、平均値で割り、正規化します。フローサイトメトリーでは、装置の分解能を表す数値としてよく用いられます。 |
尖度(せんど, Kurtosis) |
集団の分布のとんがりの具合を示す値です。Hで表す。Hが0より大きい場合は、正規分布より尖がっている。Hが0の場合は、正規分布で、Hがマイナスの場合は、正規分布より偏平。 |
歪度(わいど, Skewness) |
集団の分布の左右対称性を示す値です。Gで表す。Gが0より大きい場合は、分布が右に歪んでいる。Gが0の場合は、左右対称で、Gがマイナスの場合は、左に歪んでいる。 |