報道資料
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2022年1月26日
高速・高純度細胞分取と滅菌性実現のための設計
2022年1月26日
2022年12月19日改訂
ソニーは、細胞分析装置の開発など、細胞レベルの解析を行う最先端医療の研究に貢献するライフサイエンス事業を展開しています。
昨今、がんや自己免疫疾患などの新しい治療方法として、細胞免疫治療法が注目されています。この治療法に必要な細胞薬の製造においては、細胞を高精度かつ高純度で分取する需要が高まってきています。
そこでこの度、狙った細胞を高速・高精度で分取する閉鎖型構造のセルアイソレーションシステム『CGX10』を発売します。
本機は、開かれた空間で細胞を分取する従来型の方法とは異なり、外気に触れない閉ざされた空間内で行えるため、滅菌状態を維持しながら細胞を分取できるよう設計しています。
細胞治療や再生医療等の分野における治療の開発のための研究のほか、細胞薬製造プロセス開発への活用、その後の医薬品の製造管理および品質管理に関する基準(GMP※1)に適合する細胞製造への展開も期待できる商品です。
『CGX10』の導入により、ソニーのライフサイエンス事業は、研究用途から前臨床・治験のための細胞薬製造の分野へ拡大し、細胞治療の進展にさらなる貢献をしていきます。
商品名 | 型名 | 発売 | 価格 |
---|---|---|---|
セルアイソレーションシステム(CGX10) | 『CGX10』 | 2023年1月※ |
オープン価格 |
『CGX10』は、4レーザー(405nm/488nm/561nm/638nm)の照射により得られる細胞種類を特定するための10個のパラメーター(特徴)に基づいて、大量の細胞を分類します。1秒あたり1万5,000個の分析処理速度の場合、約97%の高い細胞分取純度を実現します。
さらに、『CGX10』の分取原理は、液体の制御を適切に行うことで、細胞のダメージを最小限に抑える設計になっており、高い生存率維持が期待できます。これにより、細胞分取後の培養工程や細胞薬の製造工程の効率化に貢献します。
また、本機の消耗品は使い捨てのため、例えば、検体に触れる液体制御用のチュービングキットは、患者ごとに使い分けができ、検体の相互混入を防ぐことができます。
がんの治療方法はこれまで手術療法、放射線療法、抗がん剤治療が中心でした。しかし近年、第四の治療方法として、完治率の高さから細胞免疫治療法が期待されています。細胞免疫療法は、がん治療の他、糖尿病やリウマチなどの自己免疫疾患においても新しい治療法として注目されています。がんや自己免疫疾患の細胞免疫療法において高い効果を得るためには、細胞を高精度かつ高純度に分取することが治療の発展とともに今後さらに求められます。
1月25日より米国・マイアミにて開催される細胞・遺伝子治療に関する展示会 「Advanced Therapies Week」にて本機の展示・デモンストレーションを実施します。本イベントにて、ソニーバイオテクノロジーのグローバルシニアマーケティングマネージャーのアディティ・シングが、再生医療技術と細胞および遺伝子治療を促進する組織、Centre for Commercialization of Regenerative Medicine (CCRM)のプロセス・解析開発ディレクターのリゼ・マンジー氏とともに「ソニーの閉鎖型セルアイソレーションシステム:マルチパラメーターでの分取を行う細胞薬製造のプロトコル例の紹介」というテーマでプレゼンテーションを行います。
独自開発の閉鎖型構造により滅菌状態を維持する設計で、滅菌済み消耗品とともに使用することでチップ内において細胞分取を完結します。チップ内では、細胞を解析したのち、液の流れの制御により狙った細胞を分取します。
4レーザー(405nm/488nm/561nm/638nm)の照射により得られる10個のパラメーター(特徴)に基づいて、大量の細胞を高速、高純度で処理できます。また、『CGX10』では、ユーザーごとの優先項目に合わせた分取設定が可能です。純度優先の設定では純度約97%、分取速度優先の設定では約10万/秒の細胞分取を設計上達成することができます。その結果、細胞薬の製造で求められる水準の生産性を実現します。
また、液体の制御を適切に行うことで、細胞のダメージを最小限に抑えることができます。この設計により、分取した細胞の高い生存率を維持でき、分取した細胞に対する遺伝子導入や培養など次の工程を効率的に進められることが期待できます。
液晶ディスプレイには、タッチパネルを搭載し、直観的な操作が可能です。また、2種類のソフトウェアモード(「プロセス開発モード」と「スタンダードオペレーションモード」)を搭載しています。「プロセス開発モード」では、細かい調整やカスタマイズを行い、インストラクションを作成します。「スタンダードオペレーションモード」では、「プロセス開発モード」にて作成されたインストラクションに沿った自動細胞分取を実施します。この時に作成したインストラクションは複数機器へ展開することができます。また、「スタンダードオペレーションモード」では、GMP※1準拠の細胞製造に適したガイダンス表示をするとともに、操作履歴を記録する機能も搭載しています。
検体に触れる液体制御用のプラスチックチューブを含むチュービングキットは、使い捨てで、1回の分取ごとにすべて交換します。患者のサンプルごとに新しいソーティング流路を使用することができるため、検体間の相互混入を防ぎます。
遺伝子治療を含む細胞免疫療法や再生医療のGMP※1に準拠した細胞製造で使用するように設計されています。CoA(分析証明書)、動物由来物質不使用証明書、製品情報ファイルなど、GMP※1に適合する細胞製造に必要なドキュメントを提供し、ユーザーをサポートします。
ライフサイエンス事業では、2010年に、細胞分析装置の開発・販売を行う米国iCyt(アイサイト)社を買収し、ソニーがこれまでAV技術で培ってきたブルーレイディスク技術や微細加工技術を融合させ細胞分析装置や細胞に付着させる蛍光色素を開発しています。細胞分析装置とは、特定の条件下で発光する薬品(蛍光試薬)で細胞を染色し、細胞にレーザー光を照射した際に発する光を、散乱光や蛍光情報として検出することで、細胞の特性を解析する装置です。
ライフサイエンス事業は、再生医療や免疫療法などの細胞レベルの解析を行う最先端医療の研究に貢献しています。