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報道資料
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2023年5月16日

ソニーとアステラス製薬
がん領域における新規ADCプラットフォーム創製に向けた共同研究契約を締結

ソニー独自の高分子材料を用いた、ADCの高DAR化に向けた共同研究を実施

ソニー株式会社
アステラス製薬株式会社

ソニー株式会社(本社:東京都港区、社長 兼 CEO:槙 公雄、以下、「ソニー」)とアステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長CEO:岡村直樹、以下、「アステラス製薬」)は、ソニーが独自開発した高分子材料「KIRAVIA™ Backbone」(キラビアバックボーン)(※1、2)による、がん領域における新規抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate: ADC)プラットフォームの創製に向けた共同研究契約を締結しました。ADCは(※3)、標的細胞に選択的に抗がん剤等の薬物を届けることによる高い効果と副作用の低減が期待されます。より優れたADCを創製するために、抗体と抗がん剤をつなぐリンカーの技術が重要と考えられています。高い設計自由度により、搭載する薬剤分子を正確に増やしながら水溶性向上等の機能性を付加できるKIRAVIA Backboneをリンカーに用いることで、高い薬物抗体比(Drug to Antibody Ratio: DAR)等を実現し、抗がん剤を、狙ったがん細胞に効果的かつ安定的に届け、治療効果を大きく向上させることを目指します。

両社は2022年7月から、新規ADCプラットフォーム創製に向けた新規リンカー技術の探索研究を協働で実施し、ヒトのがん細胞を用いた検証実験において期待するプロファイルが得られることを確認してきました。今回の契約では、ソニーが独自に開発したKIRAVIA Backboneをリンカーとして用い、ソニーとアステラス製薬が共同で新規ADCプラットフォームの創製と最適化研究を行います。また、アステラス製薬にて開発候補品の非臨床試験を行います。さらに両社は、ADC技術にとどまらず、ソニーの持つ最先端テクノロジーとアステラス製薬の持つファーマケイパビリティを掛け合わせた創薬プラットフォーム構築・価値創造の可能性について、協議を継続していきます。

ソニーのライフサイエンス&テクノロジー事業部長である小河克徳は、「ソニーのライフサイエンス事業は細胞分析の分野で様々な知見を重ねてきました。今回の提携により、ソニーの技術力を成長が期待されるがん薬物治療の発展に活かし、医療・創薬領域への貢献とさらなる社会的価値の提供に努めていきます」と述べています。
アステラス製薬の研究担当CScO(Chief Scientific Officer)である志鷹義嗣は、「このたびの共同研究契約の締結を嬉しく思います。アステラス製薬は、Focus Areaアプローチ(※4)、すなわちバイオロジー、モダリティ/テクノロジー、アンメットメディカルニーズのある疾患という多面的な視点で研究開発を進めています。今回の提携により、汎用性のあるモダリティ/テクノロジーを強化することで、革新的な医薬品の継続的な創出につながることを期待しています」と述べています。

以上

  • ※1:KIRAVIA Backboneは、ソニーが独自開発し試薬メーカーにライセンス提供しているKIRAVIA Dyes™で培った有機高分子技術を用いて生成されます。立体構造をプログラムし高分子化するため、高い設計自由度が特長です。これにより付加する薬剤分子の数を増やし(高DAR化)ながら、複数種類の薬剤の搭載や、水溶性の向上(凝集化の防止)、細胞内の酵素と反応して切断するなど、高い安定性と選択的な薬物放出の機能を備えたリンカーの合成が期待されます。

[KIRAVIA Backboneを用いたADC概念図]

  • ※2:KIRAVIAおよびKIRAVIA Dyesはソニーグループ株式会社またはその関連会社の登録商標または商標です。
  • ※3:ADCは、抗体と低分子化合物を、リンカーを介して結合させたモダリティ(低分子医薬、抗体医薬、核酸医薬、細胞治療、遺伝子治療といった治療手段の種別のこと)であり、標的細胞に選択的に抗がん剤を届けることにより、抗がん剤が正常細胞を攻撃することで起こる副作用の軽減が期待されています。
  • ※4:Focus Areaアプローチには3つの構成要素、(1)病態関連性が高いバイオロジー、(2)汎用性のあるモダリティ/テクノロジー、(3)これらバイオロジー、モダリティ/テクノロジーの2つの要素により解決が期待されるアンメットメディカルニーズの高い疾患、の3点の組合せの集合をFocus Areaとして定義し、このFocus Areaに独自の専門性とプラットフォームを構築することで、革新的製品の継続的な創出を目指しています。
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