ベテランも新人も関係なく、
ただ優れたアイデアと情熱が
次のソニーを作っていく。
自分が学んできた専門分野の知識やアイデアを、いかにビジネスとして世の中に役立てていくか。そのルートのひとつがボトムアップ活動です。トップダウンによる指示を待つのではなく、社員ひとり一人のチャレンジが新時代の製品や機能・サービスを育んでいく。ソニーではさまざまなボトムアップ活動が推進されていますが、その活動を牽引しているリーダーたちが、それぞれの立場でトークしてくれました。
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【MCIP事務局長】
モバイル事業板倉 2001年入社
- 【MCIPとは】
- MC INNOVATION PROGRAMの略。MC=モバイルコミュニケーションズ事業を意味します。モバイルコミュニケーションズ事業本部主体のアイデア創発、展示会でのシナジー、事業貢献につなげる一連のプログラムです。展示会をMFF(MOBILE FUTURE FORUM)と呼び、顧客視点を軸に新しい体験価値を生み出すアイデア・技術などの社内向けの展示を行っています。
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【DIPS実行委員長】
イメージング事業
ソフトウェア設計齊藤 2009年入社
- 【DIPSとは】
- DISCOVER IP&Sの略。IP&S=イメージングプロダクツ&ソリューションズ事業本部主体のボトムアップ活動のことです。「ボトムアップ」・「お祭り」をコンセプトとして、社員が自由な発想で技術/商品/事業化のアイデアを提案する社内向けの展示イベントとなっています。
※所属・仕事内容は取材当時のものです。
それぞれのボトムアップ活動の内容やスケジュールなどをお教えください。
齊藤
私が実行委員長をしている「DIPS」は、「ボトムアップ」・「お祭り」をコンセプトにして、自由な発想で提案をする場という立ち位置で2007年にスタートしました。以来年1回、もう本当にお祭り気分でやっています。基本的なスケジュールは、毎年2月頃に30名程度の実行委員会が入れ替わるカタチで新設されて、5月頃に出展者の方にエントリーいただき、7月にアイデアを出展するイベント開催という流れですね。だいたい毎回約300件の出展と、2021年でいえば3,000人以上の見学者が来るようなイベントになっています。
板倉
「MCIP」も当初はアイデアの出展そのものが目的で、賞や「いいね」がたくさん貰えるものでした。しかし賞を得たアイデアに対し、その先の事業化へのプロセスが課題でした。そこで前任の事務局長はじめ運営メンバーで話し、【アイデアをビジネスモデルに組み立て、展示会でお客様からご意見をいただき、役員やシニアマネジメントに発表して予算を獲得して、やがて事業化】となるような、一連のプログラムを作ることにしました。現在は「アイデアソン」「事業提案トレーニング」「展示会」「ピッチイベント」という4要素から構成されるプログラムとなっています。
齊藤
いいですね、その仕組み!私たちの場合は、「DIPS」への出展に対して、マネジメントの方々が選ぶ特別マネジメント賞と、来場者が選ぶオーディエンス賞の受賞作を毎回10件程度決定します。ただ商品化・サービス化を確約しているものではないので、あくまでその先につながるという点が大きな意義といえますね。「MCIP」とは受賞以降の流れが違う感じでしょうか。
板倉
いや、実はですね、うちは賞はやめたんですよ。事業化ないしは商品化に向けて、本気でやり抜くという意志のある出展者が、自分で手を上げて自分のアイデアを披露する。「MCIP」は、あくまでその機会を与える場という考え方です。
昨今はオンライン開催とのことですが、どのようなことを行ったのでしょうか?
齊藤
リアルな展示会だと2日間開催が限度でしたが、2021年はプレオープン期間を含めて1週間開催しました。オンラインだからこそ、より長く開催できましたし、事業部を超えて来訪対象者も広げることもできたので、いろいろな人との交流が生まれたと思います。
毎回「DIPS」では開催テーマを決めているのですが、今回は「つながる‐皆と未来へ‐」をテーマとして掲げました。そのテーマに基づき、どういう企画をやれば、みんながより興味を持ってくれるかを実行委員会のメンバーで考えて、実現する流れになっています。例えば、最近話題になっている「VISION-S」の開発メンバーとのトークセッションを開催したり、社外の方とコラボレーションして開発のトークをしたり。実行委員側も参加者側も楽しめるように、毎年工夫を凝らして新しい企画を実施しています。
毎回「DIPS」では開催テーマを決めているのですが、今回は「つながる‐皆と未来へ‐」をテーマとして掲げました。そのテーマに基づき、どういう企画をやれば、みんながより興味を持ってくれるかを実行委員会のメンバーで考えて、実現する流れになっています。例えば、最近話題になっている「VISION-S」の開発メンバーとのトークセッションを開催したり、社外の方とコラボレーションして開発のトークをしたり。実行委員側も参加者側も楽しめるように、毎年工夫を凝らして新しい企画を実施しています。
板倉
うちもオンラインサイト上でアイデア展示会を2週間開催したんですが、中日の1日だけお祭りイベントをしましたね。朝の9時半から16時半まで、出展されたアイデア全件を1人4分、リレー形式でプレゼンするスタイルで。発表者もそれでモチベーションが上がりますし、見ていただく方も本人から説明が聞ける機会になってよかったと思います。もちろん各展示に「いいね」のボタンを付けたり、人気アイデアのランキングを表示するなど、サイトに来訪したくなる仕掛けも試行錯誤して設置。実行委員会として、イベントを盛り上げるための工夫を施すスキルも上がってきている感じです。また、私たち実行委員は全員、その期間はオンライン会議の壁紙を「MCIPやMFF」のロゴが入っている共通のものですべての会議に出席してました。イベント感が出るので、「今何かやっているの?」と来場促進につながりましたね。
出展される新人に対してのフォローなどはされるのでしょうか?
齊藤
新入社員の方であれば、4月に入社して7月にはもう「DIPS」の発表があるので、5月にテーマを決めて、3ヵ月ぐらいのスパンの中での進行となります。基本的には配属部署でサポートするのですが、もう毎年のことなので、先輩がフォローするというのが慣習になっていますね。どういうテーマをやりたいかを聞いて相談にのったり、思いつかない人には、こういうテーマはどう?という提案もしてあげられます。
板倉
すごいね!うちも新入社員の方と2年目の方などにアイデアソンなどの案内は個別にしていますが、出展にあたっての参照例の閲覧方法やエントリー方法などは、新入社員も含めた出展希望者に対して、全員に差し上げていますね。
でも結果的に今回新入社員で、5件出展された方がいるんですよ。シニアマネジメントのピッチイベントにも参加希望で。アイデアのレベルも高いのですが、新人として色々な業務を学びながらになることが想定されますので、逆に心配しています(笑)。でも私の立場的には、そういう何かを生み出そうというエネルギーの火は消してはいけないと思うので、慎重に寄り添っていこうと考えています。
でも結果的に今回新入社員で、5件出展された方がいるんですよ。シニアマネジメントのピッチイベントにも参加希望で。アイデアのレベルも高いのですが、新人として色々な業務を学びながらになることが想定されますので、逆に心配しています(笑)。でも私の立場的には、そういう何かを生み出そうというエネルギーの火は消してはいけないと思うので、慎重に寄り添っていこうと考えています。
商品やサービスにつながった実績についてお聞かせください。
齊藤
そうですね。いろいろありますが、例えば、「レンズスタイルカメラ」というスマートフォンにレンズをセットして使う商品や、音楽収録に特化した小さなカムコーダー「ミュージックビデオレコーダー」が、「DIPS」発の商品です。また、α7IIのフルサイズ対応5軸ボディ内手ブレ補正機構もそうですね。こうした搭載されている機能なども含めると、世に出るまでの期間はものによって違いますが、毎年1件ずつぐらいは出ているのではないでしょうか。サービス系ですと、「推し払い(おしはらい)キーホルダー」という、アニメなどのキャラクターを印刷したアクリルのキーホルダーに非接触ICカード技術FeliCa(フェリカ)のモジュールを内蔵させた商品も賞を取って商品化されたものです。発案したご本人いわく、「アニメが大好きなので、こういうものがあったらうれしい」というシンプルな理由で提案したら、そのままサービス化につながったとか。こういう「これビジネスになるの?」とか、「ソニーがやるべきなの?」といった議論をちょっと飛び越えた先に、「でもいいじゃん『DIPS』なんだから」という気軽さがあるのが、このイベントのいいところだと思います。
最後に、これから入社を志す方に向けて、メッセージをお願いします。
板倉
ソニーってやっぱりオープンな会社だと思います。新入社員でも事業化提案、新商品提案ができる土壌がありますし、新人の方がトップマネジメントと直接話せる機会は一般的にはなかなかないと思いますが、それが普通にある。そういうチャンスが与えられるという意味で、すごくフラットな会社です。かなりそこは期待していいのではないでしょうか。
齊藤
その通りですね。あと、自分が思っていることを他の人にきちんと説明をして賛同を得る、理解してもらうということは、どの仕事、何をやっていても必要な能力ですよね。こうしたボトムアップ活動は、その経験を積む、効果的な場だと思います。さらに言えば、「DIPS」は本当にお祭りなので、失敗っていう概念がないんですよ。提案されたものを否定されることもない。気軽にチャレンジできるし、それをサポートしてくれる土壌もある。思いっきり楽しんで、盛り上げてくれる新しい風に期待しています。