BURN誌新人フォトグラファー助成金および2011年度フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー(リリスドール)(The L'Iris d'Or Sony World Photographer of the Year)受賞。ナショナルジオグラフィック協会(米国)主催のオール・ロード・フォトグラフィー・プログラムに参加し、ボストン大学からはレオポルド・ポドフスキー2世賞(Leopold Godowsky Jr. Award)を受賞。その他の主な受賞歴としては、スペインのSCANフェスティバル(SCAN Festival)の一環として開催されるタレント・ラテント・アワード(Talent Latent Award)、さらに、POYI賞(Portrait of the Year International)の最優秀ラテンアメリカポートレート賞(best Latin American Portrait)、そして、アルゼンチンで開催されたカリキュラム・ゼロ・アワード(Curriculum Cero award)などがある。また、PDNマガジンが選ぶ将来有望な30人の写真家の1人に名を連ねる。
受賞歴
- 2014年
- 第5回RMイベロアメリカ・フォトブック・アワード(RM編集部)/スペイン
- 2011年
- フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー(リリスドール)、ワールド・フォトグラフィー・オーガニゼーション(WPO)/イギリス
- 2011年
- POYI賞(Portrait of the Year International)最優秀ラテンアメリカポートレート賞(Best Latin American Portrait)、ピクチャー・オブ・ザ・イヤー/アメリカ
- 2009年
- BURN誌新人フォトグラファー助成金、マグナム財団/アメリカ
- 2009年
- レオポルド・ポドフスキー2世賞、ボストン大学フォトグラフィック・リソース・センター/アメリカ
- 2009年
- 「PDN30-PDNマガジンが選ぶ将来有望な30人の写真家」/アメリカ
- 2009年
- スキャン09ラテント・タレント(SCAN 09 Latent Talent)、国際フォトグラフィーアワード(Premio internacional de fotografía)、カタルーニャ州政府助成金(Otorgado por el Gobierno de Cataluña)/スペイン
- 2008年
- オール・ロード・フォトグラフィー・プログラム、ナショナルジオグラフィック協会/アメリカ
- 2008年
- 50周年国立芸術基金(視覚芸術)(50 Aniversario Fondo Nacional de las Artes – Artes Plasticas)、アルゼンチン全国芸術基金(Argentina National Funds of the Arts)、/ブエノスアイレス
- 2006年
- 2006年度カリキュラム・セロ ・アワード、ブエノスアイレス
- 2008年
- MoLAA賞、ラテンアメリカ美術館、アメリカ、ロングビーチ
作品展歴
個展
- 2012年
- ムーン・ヴェルヴェット(Moon Velvet)、東京、Gallery 916
- 2012年
- ウルカナ(Turkana)、イギリス、ロンドン、オクソ・ギャラリー
- 2012年
- ラ・クレシエンテ(三日月)(La Creciente)、東京、リングキューブギャラリー
- 2011年
- ハイ・タイド(満ち潮)(High Tide)、アメリカ、ニューヨーク、ヨッシ・ミロ・ギャラリー
- 2011年
- ハイ・タイド(満ち潮)(High Tide)、イギリス、ロンドン、マイケル・ホッペン・ギャラリー
- 2010年
- エル・オホ・サルヴァヘ(El Ojo Salvaje)、パラグアイ、アスンシオン市役所(CC Cabildo, Asunción)
- 2009年
- ラ・クレシエンテ(三日月)(La Creciente)、コルドバ、エミリオ・カラファ博物館
- 2007年
- ラ・クレシエンテ(三日月)(La Creciente)、ルース・ベンザカール・ギャラリー(Galería Ruth Benzacar)、ブエノスアイレス
- 2007年
- アンフィビオス(両生)(Anfibios)、エルメス・ギャラリー(Galería Hermeth)、ブエノスアイレス
- 2006年
- 砂漠にて(Entre desiertos, q,)、ブエノスアイレス
グループ展
- 2014年
- 領域と主観性(Territories and Subjectivities)、アルゼンチン現代芸術、中南米美術館、アメリカ
- 2013年
- 甘くて酸っぱい砂糖の物語(The Sweet and Sour Story of Sugar)、スリナム、パラマリボ
- 2013年
- Nuevos Documentos、レコレタ・カルチャー・センター(Centro Cultural Recoleta)、ブエノスアイレス
- 2012年
- 甘くて酸っぱい砂糖の物語(The Sweet and Sour Story of Sugar)、インドネシア、ジャカルタ
- 2011年
- ニューヨーク・フォト・フェスティバル、アメリカ、ニューヨーク
- 2010年
- ブライトン・フォト・ビエンナーレ、英国、ブライトン
- 2009年
- スキャン—ラテント・タレント、スペイン、タラゴナ
- 2008年
- ナショナルジオグラフィック・オール・ロード・フォトグラフィー・プログラム、ロサンジェルス、ワシントンD.C.、サンフランシスコ、ニューヨーク
- 2008年
- MoLAA賞、現代ラテンアメリカアート部門、ラテンアメリカ美術館、アメリカ、カリフォルニア州ロングビーチ
- 2008年
- アルゼンチン全国芸術基金—50周年記念アワード(Premio 50 Aniversario)、文化センター(Casa de la Cultura)、ブエノスアイレス
- 2008年
- フォト・サン・パブロ(Photo San Pablo)、ブラジル、サンパブロ
- 2008年
- ブエノスアイレス・フォト(Buenos Aires Photo)、アイスパレス(Palais de Glacé)、ブエノスアイレス
- 2007年
- アンドレアーニ・アワード(Premio Andreani)、リコレタ・カルチャー・センター、ブエノスアイレス、2008年、カスタニーノ美術館、ロサリオ
- 2007年
- Alumni(卒業生)、ディオス・ギャラリー(Galería La ira de Dios)、ブエノスアイレス
- 2007年
- カリキュラム・ゼロ(Curriculum Zero,)ルース・ベンザカールギャラリー(Galería Ruth Benzacar)、ブエノスアイレス
この作品展は、岩手県中部の大槌町という小さな町を題材に、アルゼンチンの写真家アレハンドロ・チャスキエルベルグ氏が、夜間での長時間露光を表現に活かした彼独自の撮影スタイルで幻想的な作品をご覧いただけます。作品展の内容を説明する前に、チャスキエルベルグ氏について簡単にご紹介しましょう。
アルゼンチンのブエノスアイレス出身のアレハンドロ・チャスキエルベルグ氏は、世界的なフォトコンテストである『ソニー ワールド フォトグラフィー アワード(SWPA)2011』 L'Iris d'Or(グランプリ)受賞者で、さらに『ポートレート オブ ザ イヤー インターナショナル(POY)』の最優秀ラテンアメリカポートレート賞を受賞するなど数々の世界的な賞を受賞しており、世界が今最も注目する写真家の一人です。
作品展の題材となった大槌町は、東日本大震災時に津波による深刻な被害を受けた町の一つです。チャスキエルベルグ氏との大槌町との接点は、2012年に東京で開催された氏の作品展の担当キュレーターだった速水惟広*(はやみ いひろ)氏でした。速水氏のご親戚が大槌町にお住まいであったため、チャスキエルベルグ氏は被災地の状況を詳しく知ることになりました。もともと「日本の漁業文化」に興味があったことから、この出会いをきっかけに、漁業の町であった大槌町を題材にした作品を撮る可能性を探ったのです。そして、速水氏や大槌町住民の皆さんと交流を深めながら大槌町での制作活動ができる環境を整えていきました。 *「PHaT PHOTO」ゼネラルマネージャー、Tokyo Institute of Photographyディレクター
チャスキエルベルグ氏は大槌町に3回訪れ、トータルで約1カ月半の滞在中に精力的に作品を制作しました。ある作品では、被写体となってくれる人たちに、もともと自分の家があった場所に夜来てもらうようにお願いし長時間露光中の数分間、静かにその場に座ってもらい撮影を行いました。
夜間での長時間露光による撮影についてチャスキエルベルグ氏は次のように語っています。
「長時間露光中の数分間の撮影中、長い沈黙が訪れます。それによって人々は内省的になり自身の内面と向き合えます。さらに彼らと私との間に密接な関係性が生まれるのです。時には撮影を通じて癒しの役割を果たしていると感じることもあります。また、視覚的な観点から言えば、残された家の間仕切りや空き地の境界線などを懐中電灯などの光でなぞることで、そこだけを明るく強調できるといった表現ができるからです。」
この作品展に展示される写真の多くは、モノクロの部分と独特の色調のカラーの部分が混在しており、不思議な雰囲気に包まれています。元の写真は、解像感を保つために大判のモノクロフィルム(4×5インチ)で撮影されたモノクロ写真です。そのモノクロ写真をデジタル画像として取り込み、デジタル処理で部分的に色をのせていきます。ある作品では、津波によって壊れた建物はモノクロで、そこに佇む人物などはカラーとして表現されています。それは、今を生きている命ある被写体には着色を施し、廃墟となった過去の記憶は元画像のモノクロのままにすることで、未来に向けて生きる住民たちの力強さを伝える作品になっています。自身が撮影したモノクロ写真に着色する色は、津波で流された水浸しの様々な写真に残っていた色をデジタル的に抽出して使っています。そこには氏の深い考えがありました。
「津波でアルバムが流され、びしょ濡れになってしまったことには(被災前と被災後という)ストーリー性があり、私たちの感覚に訴える要素があります。歴史を感じさせる数々の写真の色を使うことで、過去と今、そして未来への架け橋になってくれるのです」と氏は語っています。
チャスキエルベルグの作品を通じて、大槌の人々が未来に向かって生きる姿をぜひご覧ください。