アイラ・ブロックは国際的に有名な報道写真家、教師、そしてワークショップリーダーとして、これまでナショナルジオグラフィック誌とその関連媒体に30を超える記事を提供してきました。新聞写真家としてキャリアをスタートさせた後、数多くの記者クラブ賞を獲得。ナショナルジオグラフィック2度目の取材は、植村直己の北極点単独行の記録でした。3か月間に及ぶ北極圏滞在は、写真とサバイバルについての自身のスキルが試される経験になったといいます。
彼のユニークな視点と光に関する専門知識は、記事の執筆のみならず、広告写真、企業写真、ポートレートなど様々な分野に活躍の場を広げてきました。彼にとって重要な意味を持つ大型写真集「Saving America’s Treasures(アメリカの財宝の保護)」は、クリントン大統領オフィス、ナショナルジオグラフィック協会、文化財保存団体であるナショナルトラストとの共同制作により出版されました。
アイラは、ニューヨークのスクール・フォー・ビジュアル・アーツで初のデジタル・クリエイティブ・フォトについての授業を行いました。その後、世界各国において、様々な会議や写真セミナーで講義を行い、バンコク、ブータン、イスタンブール、ミャンマー、モロッコ、チベット、ラオス、アイスランドなど多くの国や都市でワークショップを開催しています。
直近の活動としては、野球とキューバ文化の関係を2年間にわたって記録したプロジェクトを完成させました。この時宜を得たテーマの写真集は2016年秋に出版予定です。
また、アイラは、Sony Artisan of Imagery*の1人として、自身が撮影に使用するソニーの機材についてフィードバックと情報提供を行っています。
*Sony Artisans of Imagery
Sony Artisans of Imageryは米国でソニーのカメラを使って仕事をしている写真家たちの集まりです。現在44人のメンバーがおり、風景、人物、ストリート、スポーツなど多岐にわたるジャンルから正に“職人”の名に恥じないクォリティの作品をコンスタントに届けてくれています。
数年前、私は米国南西部でネイティブアメリカンのホピ族が儀式で行う踊りを撮影する仕事を依頼されました。部族の長老たちに会い、撮影した写真は記事として掲載すること、そして、部族の儀式に敬意を表することを約束しました。すると、部族の首長が私を呼び寄せ、私の肩に手を置いてこう言ったのです。「私たちの踊りを撮る許可を与えよう。ただし、カメラはいかん。写真は君の心だけに焼き付けるのだ」写真を撮るようになって40年以上経ちますが、写真は心で“見て”、カメラで“記録”しています。
私の世界は視覚で構築されています。私の“見た”世界をお見せしましょう。
モンゴルの人と景色は、私にとっては絶好の被写体です。世界中どこを見回しても、これほど多様性に富んだ独自の文化を見つけることは難しいでしょう。モンゴルに行くたび、予期せぬ世界一鮮やかな色彩と情熱的な人々で満ちた世界一の扉を開ける機会に恵まれたと感じます。モンゴルの草原からゴビ砂漠、そして、都市開発が進むウランバートルなどをめぐり、私はジンギスカンの子孫とそのライフスタイルを撮影しました。悠久の時が流れる一方で活気ある未来が到来する可能性を秘めた、他に類を見ないこの国の様々な瞬間を、自らのカメラにおさめました。