高倉大輔 作品展
monodramatic / loose polyhedron
ギャラリー2
- 展示期間
- 2016年7月29日(金)~8月18日(木)
- 展示時間
- 11:00~19:00
※最終日は15:00まで
ギャラリートーク開催のお知らせ
高倉大輔氏によるギャラリートークを開催します。
- 開催日時
- 8月7日(日) 16:00~17:00
- 開催場所
- ソニーイメージングギャラリー 銀座(ソニービル6階)
- 入場無料、事前予約不要です。
- ギャラリートークは記録のために録画します。
- 座席はございません。
高倉 大輔 プロフィール
受賞歴
- 2013年 9月
- 御苗場vol.13関西 TEZUKAYAMA GALLERY 代表《松尾良一セレクト》レビュアー賞受賞。博報堂ケトル代表取締役社長・共同CEO-《嶋浩一郎セレクト》レビュアー賞ノミネート
- 2014年 12月
- LensCulture Visual Stolytelling Awards 2014 ファイナリスト
- 2014年 12月
- Emon Award 2014 ファイナリスト(EMON PHOTO GALLERY)。
- 2015年 6月
- "PX3 2015"(Professional)Portrature - SelfPortrait / 1st Prize、(Professional)Fine Art - Abstract / 3rd Prize
- 2015年
- "2015年度ヤングポートフォリオ"(選:細江英公、森山大道、北島敬三/清里フォトアートミュージアム)
- 2015年
- "International Photography Awards 2015" Professional:People,other category 2nd place
高倉大輔氏は、立教大学在学中から俳優として演劇を始めた他、演者としてだけではなくグラフィックデザイナー、写真家として独自の世界観で作品を発表している最も注目されているアーティストの一人だ。その非凡な創作力は、国内外でも高く評価され写真を専門に扱うwebマガジンとしては世界最大規模の「LensCulture」主催の「Visual Storytelling Awards 2014」のファイナリストに選出されている。また世界の若手写真家による優れた作品を購入、展示する2015年度ヤングポートフォリオに選ばれるなど数々の受賞歴があり、2015年11月にはパリ・ルーヴル美術館の地下・Carrousel du Louvereにて世界各国からギャラリーと作家が集められ行われたフォトフェア「fotofever」では、高倉氏の作品がメインビジュアルとしてポスター、カタログの表紙などに使われている。
本作品展「monodramatic / loose polyhedron(モノドラマチック/ルーズポリヘドロン)」の『monodramatic 』はmonodrama(一人芝居)+ dramatic(ドラマティック、劇的な)を繋ぎ合わせた造語である。高倉氏のバックボーンである演劇やデザインの要素を盛り込み、“一人芝居”をモチーフとした作品シリーズだ。
人の持つ多面性や可能性、人々の中に渦巻く“多次元の自分”を物語とともに表現すべく、主に俳優や身体表現者を被写体に起用して、彼らの想像力や演劇的な表現力を引き出して一人の人物の様々な動きや表情をデジタル的に画像合成し1枚の写真として表現している。今までの受賞歴は全てこのシリーズによるものである。
そして『loose polyhedron(緩やかな多面体)』は、monodramaticシリーズから派生した新しいシリーズで、<感情のタイポロジー(類型学)>をイメージして作られた作品群である。下に掲載した五角形の感情バランスチャートを撮影の前に書いてもらい、それをベースにその人物の感情を画像合成し視覚化したユニーク極まる作品シリーズだ。バランスチャートには<喜怒哀楽>という感情が日常どんなバランスで自分の中に存在し表出するのかを記入してもらう。バランスはどんな環境にいるかなど時によって同じ人でも変わるものであるし、そもそも喜怒哀楽というものはあくまで感情をとても大まかに分類した日本語であるので、それぞれの感情の解釈も人によって異なるということを前提にしてもらった自由な記入である。作品は中央にフラットな感情の状態の被写体を置き、ピントはそこにだけ合わせ、その背後には左から<喜怒哀楽>の順に感情を出してもらい撮影していく。そして最後にデジタル処理で丁寧に合成し完成させる。
実際の撮影は、感情バランスチャートでリサーチした結果をレンズからの距離に反映させている。つまり普段素直に出している感情はより前の位置で、抑えていたり、あまり表に出すことが少ない感情についてはレンズから離れた距離に配置し、撮影しているのである。合成された1枚からは、その人の持つ表情のバリエーションや、普段は隠されている感情までも見えてくる。このシリーズは、五角形の感情バランスチャートからpentagon(五角形)と呼んでいた。しかし、人の感情(喜怒哀楽)のパラメータは人によっても違い、その場の状況によっても違う多面的な要素が複雑に絡み合ったもので、かっちりとした平面的なpentagon(五角形)ではなく、もう少し“ゆるっとした立体”のイメージにしようとした結果『loose polyhedron(緩やかな多面体)』となった。
この2つのシリーズは画像合成をすることで成立した表現である。ランダムに撮影をし、ランダムに合成したのではなく前述のとおり、緻密に計算された設計図(作品イメージ)を基に素材を1つ1つ丁寧に積み上げて出来た作品はデジタルだからこそ可能な表現だが、表現されたそれは非常に人間的で“人間とは”という“問い”を見る側に投げかける作品展だ。