hiro プロフィール
福岡県生まれ。写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)を卒業。元々は、東京に上京するための手段として進学。それまでカメラに触ったことはなく、入学時に初めての一眼レフカメラ、F2フォトミックASを購入。卒業制作(人物を使った心象風景を制作)を通し、写真の世界にどんどんのめり込んでいった。卒業後、1981年よりプロカメラマンとして始動。広告制作会社を経て、広告、ファッション、エディトリアルを中心にフリーランスとして活躍中。本作品は進行中のプロジェクトであり、今後は寺・神社での撮影を継続しつつ、海外の歴史ある教会や古城などでの撮影・作品制作も視野に入れている。
作品展「The hope of bluegreenheart」は、hiro氏が各地の寺や神社の境内で感じたインスピレーションに感応し、それに共鳴しながら撮影した作品を展示している。それらの作品は、オリジナル画像をhiro氏のイメージに合わせて“青”と“緑”を基調に補色である“赤”や“黄”を織り交ぜ色鮮やかにRAW現像をしたものだ。
hiro氏にとって、“青”と“緑”は特別な色である。森羅万象から得る生命力やエネルギーを象徴する色が“青”や“緑”なのだ。
そして、hiro氏にとってその生命力やエネルギーを自然に受け取ることができる場所が寺や神社なのである。
それらは信仰の対象であり、気持ちを浄化する特別な場所だ。過去から現在まで、人々はそこに足を運び、手を合わせ仏や神と対峙し、その超越した存在と自身に向けて様々に問いかけ、願い祈ってきた。そうすることで、概念的なエネルギーや生命力を受け取り、新鮮な気持ちで明日に向かうことができたのだ。そこから得ることができるエネルギーや生命力とは何なのか? なぜ、そこに行くと気持ちに張りが出るのか? まず、その疑問がきっかけとなりhiro氏は寺や神社にカメラを向けるようになった。
清冽な空気感が漂う寺や神社の境内で心を静めて手を合わせる。すると不思議なことに気力や生気が体内に漲るのを実感できるのである。その横溢するエネルギーが創作意欲を掻き立て、その場から受けるインスピレーションに共鳴するように撮影に没頭する。撮影したオリジナルの画像を前述したように丹念にRAW現像を行なっていく。一旦、仕上がった作品は、その後、時間を置きさらに昇華されたhiro氏のイメージに近づけるために何度もRAW現像を繰り返えしながら変遷していくのだ。そうした過程を経て展示される色鮮やかで透明感のある美しい作品は、過去のある時点でのイメージとしては完成されている。しかし、hiro氏の各作品へのイメージは進行形で膨らんでおり、作品展が終わった後も様々に変遷していくのである。
展示作品には写真表面に透明なアクリル板を圧着させるフォトアクリルという方法でパネル化している。これにより、作品が浮かび上がるような立体感と透明感をより感じられる。また3台の4Kテレビ画面では、オリジナル画像から展示された作品に至るまでの変遷を辿った興味深い映像を楽しむことができる。
「これらの作品を通じて見る人に希望を持ってもらうことは、私の使命のような気がするのです。いつか病院などの施設に作品を展示し、皆さんに希望を受け取ってもらうことが夢です」と、この作品展をファーストステップと位置づけ、今後も意欲的に制作活動を続けていくとhiro氏は語ってくれた。