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九州産業大学大学院 芸術研究科写真領域 作品展 座標

本展は、九州産業大学大学院 芸術研究科 造形表現専攻写真領域に在籍する6名による写真展です。タイトルの「座標」には、国内外のさまざまな土地を巡る私たちが、自身の現在地を示すという意味を込めています。

ロシアで目撃した軍事パレードからポストソビエトに興味を持ち、旧ソ連時代の土地を旅する何寛寛。人々の生活と海に深い関わりを見出し、現在住んでいる福岡の博多湾を巡る鄒楠。かつて石炭産業で栄えていた福岡県大牟田市と熊本県荒尾市の現在の姿を追い、この街の行く先を見ようとする高巣裕太。中国仏教の聖地として知られる五台山を唐の時代に巡礼した日本人僧侶・円仁の旅路を辿り、彼が目にした風景を写しとろうとしている馬一夫。野山に点在している、自然に飲まれて錆びた自動車を探索し記録する前野翔太。故郷である長崎県対馬を歩き、自身との距離をはかる中でそのかたちを知ろうとする松村広太。

この写真展から、私たちが世界で見てきたものを感じ取っていただければ幸いです。

作家紹介

何 寛寛(か かんかん)

1990年生まれ、中国・上海出身。
ポストソビエト社会に深い興味を持ち、2013年からポストソビエト地域への旅を始めた。幼いころ、ソビエト社会に大きな変革があったが、ニュースで聞くことができたのはその中の僅かな部分だけだった。だが、外界はあの地域に対して概ね政治的なイメージを持っている。私は外からの偏見を捨てて、自分の目線から見た「もう一つ」のポストソビエトを表現したい。

鄒 楠(すう なん)

1989年生まれ、中国・江蘇省出身。
私は現在住んでいる福岡市の海岸線に沿って歩きながら、面白い場面を探して写真を撮っている。自身が感じ取った福岡をカメラで記録することで、海と福岡の繋がりを探している。

高巣 裕太(たかす ゆうた)

1995年生まれ、福岡県出身。
主に近現代の建造物に興味を持ち、自身が生まれ育った北部九州を中心に活動している。この地域にかつて多く存在していた、炭鉱の現在の姿を追い求めている。

馬 一夫(ま かずお)

1993年生まれ、中国・山西省出身。
私は平安時代に遣唐使として中国へ渡った僧侶・円仁の歩いた道を訪れ、彼にまつわる物語を捜索。同時に人々との出会いを通して、私自身の人生の縮図も発見していった。 円仁と同様に私も時間をかけて、彼の生きていた時代から変化した景色を見ながら、唐の時代に思いを馳せ、彼が乗り越えた多くの困難を感じ取ることができた。

前野 翔太(まえの しょうた)

1995年生まれ、鹿児島県出身。
廃線、スクラップヤード、終焉を迎えるバスターミナルなど廃れた風景を追い求め旅を続けている。本写真展の作品に写る廃車は、車としての使命を終え、倉庫として二次利用されている。廃車と人との関わり、その地の風土、錆びに包まれる時間の経過などから廃車たちの個性を感じとることが出来れば幸いだ。

松村 広太(まつむら こうた)

1995年生まれ、長崎県・対馬出身。
僕にとっての写真とは、故郷である対馬を撮ること。写真によって対馬を知り、自身を知り、その先に世界があると信じている。