日本大学芸術学部写真学科 教員作品展 SKY II 甲田謙一/田中里実/服部一人/穴吹有希
- 展示期間
- 2019年12月6日(金)~12月12日(木)
- 展示時間
- 11:00~19:00
甲田 謙一 KOUTA Kenichi プロフィール
1949年、千葉県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業、同大学専任講師、助教授を経て、2000年より日本大学教授として勤務。大学では、電子画像概論、演習、ゼミナールなどを担当している。研究対象は、カラープリントの画質評価およびデジタルカメラ、プリンタの画像評価である。学外では、フォトテクニック誌、コマーシャルフォト別冊/本誌、日本カメラ誌、写真工業誌などにカメラ、レンズ、デジタル写真関係のメカニカルライターとして機材の評価、評論記事を執筆。「2019カメラグランプリ」の選考委員も担当している。作品制作では、野草の花の超接写によるネイチャーフォトの撮影などを行っている。趣味は、クラシックカメラの蒐集と分解修理。古典露出計の蒐集。およびオーディオ歴50年。車歴50年(学生時代はラリーに夢中だった)。
公益社団法人 日本写真学会会員、日本写真芸術学会会員
<著書>
『ディジタル写真入門』(コロナ社・共著)
『Pohotoshop Elements で始めるデジタルカメラ写真入門』(MdN)
『デジタル写真の基礎』(コロナ社・共著)
『デジタル写真学入門』(電波新聞社)
『写真の百科事典』(日本写真学会編・朝倉書店)
<個展>
「野の花・ 足もとの妖精たち 2」2012年2月
「野の花・ 足もとの妖精たち」2003年10月
田中 里美 TANAKA Satomi プロフィール
1960年、石川県生まれ。航空自衛隊航空学生、一般企業勤務などを経て40歳を過ぎてから日本大学芸術学部写真学科に入学。同校大学院を経て、現在日本大学芸術学部写真学科准教授として勤務。大学では写真の基礎を中心に指導を行っている。自身の研究テーマとして初期写真技法の研究を行うと同時に、それらの技法を現代写真技法に活かせる方法論も研究している。自身の作品は写真の記録性を重視し、8×10インチの大型カメラから35ミリカメラまで使用して銀塩黒白写真を制作。どのようなフォーマットのネガから、あるいは海外渡航によるX線検査済みフイルムからでもより良いプリントを完成させる事を目指している。
公益社団法人 日本写真協会会員、日本写真学会会員、日本写真芸術学会会員
<主な写真展>
「室野今昔−昭和33年から47年の室野そして令和元年」 奴奈川キャンパスギャラリー 2019年
「Paris perspective Atget et Marvill」GELLERY STORKS 2019年
「SKY 日本大学芸術学部写真学科教員作品展」 ソニーイメージングギャラリー 2018年
「大地と生きる」 大地の芸術祭(新潟県十日町市)共同制作 2018年
「私たちの職場から」 第30回日本老年泌尿器学会 2017年
「35×35 写真史の旅」 GALLERY STORKS 2016年
「Entrance・Geometry」グループ展 池袋WACCA 2015年
「インタセクションプロジェクト−平行する交差点」 2014年
「鉄・彫・写」 星と森の詩美術館 鞍掛純一共同制作 2013年
「a flower is not a flower」N+N展 練馬区立美術館 鞍掛純一共同制作 2013年
「やまのうえした」 大地の芸術祭(新潟県十日町市)共同制作 2012年
「Typology Series No,1 “Entrance”」GALLERY STORKS 2011年
服部 一人 HATTORI Kazuto プロフィール
1961年、名古屋生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、(株)日本デザインセンターに勤務。退職後、独立行政法人国際協力機構(JICA)により、ケニア国立ナイロビ博物館、タイ チェンマイ山岳民族博物館、アユタヤ歴史研究センターに派遣。のべ約9年間を発展途上国で過ごす。帰国後、東京をベースにフリーランスフォトグラファーを経て、現在日本大学芸術学部写真学科准教授。大学では初年時の写真基礎演習のほか、ドキュメンタリー写真全般を扱うゼミナールを担当している。
学生時代より多く旅に出かけ、デジタル、銀塩を問わず旅先のストリートスナップショットを撮影している。写真以外にも、ラオス、タイ北部の少数民族を対象にフィールドワークをおこない、映像人類学の動画を研究者とともに制作している。
公益社団法人 日本写真協会会員、日本写真芸術学会会員、東京都写真美術館外部評価委員
<主な写真展>
「駅・雑踏・トラム」ソニーイメージングギャラリー 2019年
「ジェニファーの結婚式・モゴの結婚記念日」ギャラリーストークス 2018年
「窓の向こうに」ギャラリーストークス 2015年
「タイ山岳民族の村から」ナガサキピースミュージアム 2007年
「ビルマの人」コダックフォトサロン 2000年
「一期一会」視丘撮影美術館(台湾) 1991年
<主な民族学映像>
「森の再生 言葉の再生」(NPO法人メコン・ウォッチ共同制作) 2013年
「ソンクラーン 新年を迎える儀式 タイ チェンマイ」(金沢大学共同制作) 2012年
「アユ村の過去と現在 中国雲南省ラフ族村の暮らし」(金沢大学共同制作) 2011年
穴吹 有希 ANABUKI Yuki プロフィール
1984年、香川県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、同大学写真学科助手を経て、現在、同学科専任講師として勤務。写真の基礎を教えると同時に、画像処理やサイエンスフォトなどの授業では新たな発見をテーマに、学生の作品制作へつながる授業を展開している。日常の中の何気ない風景をモチーフにし、シフトレンズを使用したボケを利用した作品制作をライフワークとしている。近年は新たなデジタル写真の技術や技法を様々な美術分野の表現技法と融合した写真作品を制作している。
公益社団法人 日本写真協会会員、日本写真芸術学会会員
<主な写真展>
「穴吹有希作品展」Gallery KINGYO(東京)2019年
「時は春」Gallery KINGYO(東京)2018年
「穴吹有希写真展」今井金箔ギャラリー(石川)2016年
「TOKYO SNOW」Gallery KINGYO(東京)2015年
「My scape」Gallery K(東京)2014年
「記憶について」Gallery KINGYO(東京)2014年
「ゆっくりとした流れの中で」Gallery K(東京)2014年
「Water Garden」Gallery K(東京)2014年
「Botanical Portrait」Gallery K(東京)2013年
「Botanical Portrait」ART IMAGINE GALLERY(東京)2013年
「INVISIBLE」315 ART CENTER(韓国)2013年
「旅のはじまり」The Artcomplex Center of Tokyo(東京)2012年
「穴吹有希写真展」Fine Art 21(香川)2012年
「Accessibility」The Artcomplex Center of Tokyo(東京)2011年
「Sakura」新宿プロムナードギャラリー(東京)2010年
他多数
昨年に引き続き、日本大学芸術学部写真学科専任教員による写真展「SKY Ⅱ」を開催させていただくことになりました。作品発表を念頭におき写真制作をしている4名の作品を紹介いたします。
私ども教員は日本大学芸術学部写真学科を卒業した同窓生でもあり、先達の師より厳しく基礎技術を学び、それを踏まえた上で自己表現を展開すべく写真表現を研究し、実践しております。また多くの学生達と向き合い、語り合う中で、幅広い写真の世界に日々接し、試行錯誤するなかで、自然と多様な写真表現にトライすることになります。
しかしながら本職は教員であり教育を中心としながらの制作となります。撮影時期や場所など数々の制限がありますが、精一杯の思いをこめた作品です。
甲田謙一は紫外線写真を中心とし、赤外線写真および一部は通常の光で撮影した最新作を展示します。紫外線、赤外線は人間の目では見ることのできない波長であり、写真にしてこそ可視化できます。蝶や昆虫には見えても人間には見ることのできない世界を再現しています。紫外線は無色なので、この作品は甲田とカメラのコラボレーションといえるものです。ともあれ現実の世界でありながら変換され美化された世界を構築しています。
田中里実は初期の写真やその技法を研究対象としている本領を発揮し、本年は湿板写真のティンタイプによる最新作です。テーマは善悪等すべての事象は実態なくうつろう儚いものという壮大なものであり、それを被写体の「身体」「物体」「植物」に象徴させています。またティンタイプ特徴の「黒」や、手作業の多いその技法の曖昧な偶然性による仕上がりも含めて制作過程全体がこの作品のテーマを深めるものとなっています。現実世界をとおして見えない世界の表現に挑んだ作品です。
穴吹有希は新しい技術や技法を積極的に取り込み、様々な制作方法に挑戦し、独自の写真表現世界を創りあげています。今回の作品は2004年から開始した制作技法を発展させたものです。作品は全て地に足をつけアイレベルからデジタルカメラで撮影しています。大型カメラのアオリによってアウトフォーカスを作り出しているわけではありませんが、俯瞰したかのような広大な空間を感じます。ミニチュアのような人間のいる景色もすべてリアルです。現実の世界を切り取りながら、異化された独自の創作世界です。
服部一人は、近年積極的に作品発表をしている写真家です。ケニアやタイなどに9年半居住しており、日本を拠点にコマーシャル系の仕事をしながらも世界を旅していました。今回の作品は、25年前から2年前までの欧米およびアフリカの旅から銀塩白黒写真とモニターでのカラー写真という形で展示します。服部の視線は、街中でも大自然の中でも人間を見つめています。写真でだからこそ捉えられる記録であり、どこか郷愁をさそう記憶を呼びおこされるような作品です。異邦人と旅人の間をたゆたう独自の服部の世界です。
四人四様の未発表作品による4人の表現世界と、彼らがこだわり自ら制作した魅力あふれるオリジナルプリント作品をご高覧ください。彼らの表現の広さと深さを感じて頂ければ幸いでございます。