東京写真月間 2021
「変わりゆく2020年代の写真」-若い世代が考える写真の表現-
影山あやの 作品展
DEAR EMOTION
- 展示期間
- 2021年6月1日(火)〜6月17日(木)
- 展示時間
- 11:00~18:00当面の間、18時に閉館
影山 あやの プロフィール
- 1992年
- 栃木県生まれ
- 2014年
- 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業
- 2015年
- 東京工芸大学芸術学部写真学科研究生修了
- 2015年
- 講談社ビジネスパートナーズ勤務
- 2018年
- 東京工芸大学芸術学部助手
展覧会
- 2014年
- TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD “NEW VISIONS #1″ (G/P +g3/ gallery, 東京)
- 2016年
- 大邱フォトビエンナーレ NetPhotoFestival (Hyewon gallery, 韓国)
- 2018年
- 第18回 写真「1_WALL」展 (ガーディアンガーデン, 東京)
- 2019年
- 写真集をつくる展 (Nap gallery, 東京)
- 2020年
- 写真と本 / 本と写真 (AXIS Gallery, 東京)
18歳の時に写真を始めた。それから2人の妹と生まれ育った場所を撮り続けている。写真は小さな出来事や当たり前の日常を記録することができる。写真の中で時間は止まっている。しかし、複数になることで妹の姿が少しずつ変化していることに気が付く。私はその全てを見続けたいと思っている。遠い未来に懐かしみのある写真を残していきたい。
「dear」という単語が好きだ。日本語で訳すと「親愛なる」「懐かしい」などの意味を持っている。私の写真にもそのような意味を込めたい。身のまわりで起こるごく小さな変化を撮ることで大きな事に気づいた。写っているものは全て個人的なものだ。けれども写真は、手を合わせた数だけ積もっていく仏壇の灰や猫の爪研ぎの形がすこしずつ変化していく日常を確かに残す事が出来る。私にとって特別な1枚が他者にとっても特別なものになるのは難しい。しかしそのような日々の変化の積み重ねが、あなたの経験を通して、新しい物語になっていくことを願っている。そして、あなたの感情に触れることが出来たら嬉しい。どれだけ時間が経過しても目には見えない感情や、日々忘れていく大切な事を蘇らせてくれる。それが私の信じている写真の力なのだと思う。
これは、3年前にこの作品を初めて纏めた時に書いた文章だ。その後も撮影を続けて、延べ10年という月日が流れている。この間に2人の妹そして私自身にも目まぐるしい変化があった。妹の妊娠と出産、祖父母の病気や大切な家族であるペットの死。実家の場所は変わらないが、その中の生活は全く違うものになった。
今ではどれだけ時間が経過しても、写真を見れば蘇えると思っていた記憶も、当時の感情のまま思い出すことは難しいと思う。しかし、鮮明にすべてを思い出せなくても、何かを思い出すきっかけを与えてくれる写真はとても魅力的だ。日々、様々な経験をする事で以前は何でもなかった1枚が、今ではとても大切に思えることも多い。鑑賞者の経験を通して、新しい物語になればと思っていたが、私にとっても新しい物語のように見えてくることがある。だからこそ、これからも目の前の光景を大切に残していきたい。いつかそれを見る時、写真は何を蘇らせてくれるのだろうか。