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能楽写真家協会作品展 幽玄の美

「能楽(能狂言)」の歴史は古く、奈良時代(8世紀)に中国や西域の国より伝わった「散楽さんがく」が日本の雑技と結びつき、その後「田楽」「今様いまよう」「しら拍子びょうし」等を取り込み、歌舞的要素が加わった一種の楽劇「猿楽」に発展しました。室町時代(14世紀)に入ると、足利将軍家の援助のもと大和猿楽の観阿弥・世阿弥父子が今日に伝わる「能」を確立させました。その後の権力者たちも「能楽」を援助し、江戸時代に四座一流(観世・宝生・金春こんぱる・金剛・喜多)体制が確立、明治時代になるとそれまでの呼称「猿楽(申楽)」が「能楽」に改められました。装束・面・楽器も一流職人の手によって美術品・工芸品として発展し、現在でも室町時代や江戸時代につくられた装束や面が使用されています。

「能楽」にはそれぞれの曲の中で創意工夫をする「小書こがき」と呼ばれる特殊演出があり、通常の演出と舞やうたい、囃子方の演奏方法が変わる場合もあります。また、能の主役を演じるシテ方の流派(観世流/宝生流/金春流/金剛流/喜多流)や狂言の流派(大蔵流/和泉流)というように、同じ演目でも各流派によって演出が変わります。そのため、基礎知識として「仕舞しまい」や「謡」を知らないとシャッターチャンスを逃すことになり、撮影する側にも能の勉強が必須となります。

今回の写真展では、「幽玄の美」をテーマに各々が能の持つ神秘的な深みを表現しました。優美で華やかな能楽の世界観を、作品を通してお楽しみください。

出展者(敬称略・五十音順)

  • 石田 裕
  • 尾形 美砂子
  • 神田 佳明
  • 国東 薫
  • 今駒 清則
  • 新宮 夕海
  • 鈴木 薫
  • 瀬野 雅樹
  • 前島 吉裕
  • 三上 文規
  • 森田 拾史郎
  • 吉越 研
  • 渡辺 国茂

能楽写真家協会

能楽写真家協会は、能楽堂や劇場、野外で演じられる薪能の「能楽」を蝋燭の明りのもと写真・ビデオで撮影する写真家集団で、2005年に結成しました。現在、関東圏19名、中部圏1名、関西圏12名、九州圏1名の33名の会員で構成されています。

能楽写真の向上と、優れた写真・映像による能楽の啓蒙をめざし、表現・技術の研究や著作権の普及、会員相互の交流を行っています。また近年は、能楽に関係する機関と協力してマナーやルールの整備も行っています。

能楽写真家協会 ウェブサイト