1969年香川県生まれ。2008年写真の会賞受賞。東京・多摩地区をフォールドとした夜のソーシャル・ランドスケープをライフワークとし、ゲーム的仮想空間を意識した写真作品に取り組む。SNS登場以前からWeb更新型デジタル写真作品を発表し、国内での個展多数、海外の写真フェスティバルにも多数参加。写真集に『HOME』(2007 蒼穹舎)、『痛車Z』(2012 エンターブレイン)があり、『HOME』は2011年にマーチン・パーが選ぶベスト30写真集に選出。痛車の作品を制作して以降、コミックマーケットやコミティアにも参加し、少部数写真冊子を制作頒布。パブリックコレクションとして清里フォトミュージアムに作品収蔵。現在、東京造形大学、武蔵野美術大学、日本写真芸術専門学校の非常勤講師。
深夜の高速道路のサービスエリアでトラックが静かに仮眠している。一台、また一台とやって来ては眠りにつく。朝9時にはインターチェンジ周辺の物流センターに列をなし、工場に部品を搬入するのだろう。何かをどこかへ運ぶため、水銀灯の下で眠っている。
近年、都心から約50km離れた東京西部に圏央道が開通した。多摩丘陵から関東山地が立ち上がる急峻な地形に複雑なインターチェンジやジャンクションが高度な土木技術で建造されている。その周辺に次々と巨大物流センターが作られている。
インターネットと高速道路は経済インフラの両輪であり、ことさらコロナ禍で「人が移動する時代」から「物が動く時代」へ移ったと言われる。2021年のEC市場は13兆円に成長し、今も誰かがクリックした商品が倉庫のロボットにピッキングされてトラックに積みこまれ、深夜の高速道路で運ばれる。それが私たちの日常のバックエンドの風景だ。
展示内容
深夜の高速道路サービスエリアのトラック・トレーラー、圏央道 相模原IC、新東名 伊勢原大山IC、御殿場JCTなどの写真と、深夜の相模原ICを撮影した映像作品「相模原IC」(約4分)を展示