鄒 楠 作品展
帰らない私たち
- 会期
- 2023年2月17日(金)~3月2日(木) 11:00~18:00
※2月21日(火)は休館
鄒 楠(すう なん / Zou Nan)プロフィール
- 1989年
- 中国 江蘇省出身
- 2012年
- 日本へ留学
- 2018年
- 九州産業大学 芸術学部写真映像学科 卒業
- 2020年
- 九州産業大学大学院 芸術研究科 造形表現専攻 博士前期終了
- 2020年~
- 九州産業大学大学院 芸術研究科 造形表現専攻 博士後期在学中
芸術活動
- 2019年
- 「The Light Runner 180 An International Art Exhibition of Film Image」入選賞
- 2019年
- 九州産業大学大学院 芸術研究科写真領域 作品展「座標」ソニーイメージングギャラリー 銀座
- 2022年
- 第17回 名取洋之助写真賞・奨励賞 受賞
- 2023年
- 第17回「名取洋之助写真賞」受賞作品 写真展 富士フイルムフォトサロン
2020年の春は、新型コロナウイルスの世界的な蔓延で幕を開け、世界が静止状態に陥った。留学生の私も中国に戻れないまま、この作品を撮り始めた。最初は新型コロナウイルスで中国に帰れなくなった人たちを撮りたかっただけだったが、撮影中の会話で、中国に帰れない理由は様々であることが分かった。「海外生活が長すぎて、もう自国の生活になじめない」、「もう日本人と結婚している」、「日本で仕事をしており、自国ではそれ以上の仕事が見つからない」などである。そこで、「帰らない私たち」というタイトルで制作を続けることにした。
中国人は独特の民族性を持っており、外国に住む中国人の多くは、現地社会と微妙な距離を保ち、交友関係も中国人ばかりで、現地の人と友達になることを好まない傾向がある。また、中国の文化には「故郷へ錦を飾る」という考え方も根付いており、自分の人生の輝かしい面のみを他人に見せ、人生の苦労は語りたがらないのである。 ある意味、写真を撮ることは中国人、特に海外に住む人々にとって特別な事であり、良い人生を示す方法の一つである。
作品では、登場する人が写真の中で自分自身を演じるようにアレンジし、できるだけ実生活を再現したいと思った。彼らはほとんど無表情で、自分だけの世界に夢中のまま、外界と遮断されていることが分かるように表現した。逆に子供たちだけがリアルに存在するように見えた。彼らが直面する問題は親世代と違い、日本の社会に影響され、母国との繋がりが弱くなり、「私は中国人だ。」というアイデンティティを心から確定することができるのか。その子たちのことを見つめ続けていきたい。