埼玉県生まれ。2003年より、フリーランスフォトグラファーとして独立。沖縄・石垣島、ハワイ・オアフ島への移住を経て、現在は神奈川県の三浦半島を拠点に活動中。水中でバハマやハワイのイルカ、トンガのザトウクジラ、フロリダのマナティなどの大型海洋ほ乳類、陸上で北極海のシロクマ、フォークランド諸島のペンギンなど海辺の生物をテーマに活動。2009年National Geographicでの受賞を機に世界に向けて写真を発表し、受賞作のマナティの写真は世界各国の書籍や教育教材などの表紙を飾る。温泉に入るニホンザルの写真はアメリカ・スミソニアン自然博物館に展示。国内でも銀座ソニーアクアリウムのメインビジュアルはじめ企業の広告やカレンダーなどを撮影。
受賞歴
- National Geographic 日本版 2009 最優秀賞
- National Geographic International Photography Contest 2009 奨励賞
- Nature's Best Photography Japan フォトコンテスト2013 準グランプリ
写真集
- 「KOTARO」( SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS ) 2008年
- 「Penguin Being -今日もペンギン- 」( 玄光社 ) 2019年
- 「これが君の声 青の歌-Sound of echo, Song of blue-」( 私家版 ) 2020年
- 「その背中を風が撫でて -Horses in the wind-」( 私家版 ) 2021年
秋のアラスカ。
大自然に生きる野生動物を撮影しながらダルトンハイウェイを北上し、
北極海のシロクマに出会うべくセスナに乗ってカクトビックに降り立った。
その小さな村で過ごした、現地ガイドもイヌイットの人々も奇跡と呼んだ1日の記録。
それはまるでおとぎの国のお話。
National Geographic写真賞の受賞を機に、世界でも作品を発表し旅を続けている写真家 岡田裕介の新作作品展
「WONDERLAND」を撮影したのは、遡ること10年前の秋のアラスカ・カクトビック村。
その日は、天気が良く凪いだ海は鏡のように空を映していた。
キラキラと輝く太陽を受けて泳ぐホッキョクグマの波紋だけが水面を揺らす。
「こんな良い天気はそうはないぞ」
イヌイットの船長の言葉を聞き、日没の時間にも船を出すことにした。
再び船を出したのは19時半。刻一刻と色鮮やかになる日没後の空。
ピンクの空に包まれてホッキョクグマが鯨の残骸に群がる姿は、この世のものとは思えず息をのんだ。
振り返ればオレンジに輝く海の中で親子が泳ぎ、海岸沿いで子どもたちが戯れ合って遊んでいる。
360度の極彩色の空は1時間半以上かけてゆっくりと濃紺の夜に溶けていった。
きっと天国とはこういう場所なんだろう...。
10年間発表を躊躇するほどの圧倒的光景を、カラー写真全30点の構成で初公開。