その声を聞いてはいけない
その道を渡ってはいけない
その手を取ってはいけな・・・い?
日々の呼吸のなかで、ふと何かが違うと感じる
何かが目の端を横切る
ドラマのシーンの繋ぎを失敗したかのように一瞬ずれる
意識は底へ底へと降りていく
光のない真っ暗闇のなか、気配がする
現れたのは誰?
眼を開けてみる
気づけば目の前の景色には闇が息づいている
ひたひたと 寄せては返す
埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業後、同大学院を経て、現在、同大学勤務。演習授業等で多くの学生の作品制作をサポート。
作家としては、生きることは旅という視点で、自然に還るために都市に活き、都市に生きるために自然に帰る旅を続け、都市風景などのスナップや心象を主とした自然風景などで作品を発表。特に国内では地水火風空の5つのエレメンツに着目した光景や異空間としての聖地を探し取材を続けている。近年、マルタ共和国の魅力に惹かれ、「Malta三部作」を発表した。
また、高校生の写真活動の研究をライフワークとし、全国の<高校写真>のサポーターとしても活動している。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員,日本写真協会会員 日本写真芸術学会
<主な写真展>
- 2022年
- 「都市と自然のエレメンツ」池田記念美術館(新潟県浦佐)
- 2021年
- 「Malta 時を刻む」ピクトリコギャラリー 両国
「Malta はちみつ色の街」ピクトリコギャラリー表参道
- 2018年
- 「Light’s Edge」ニコン 新宿フォト・プロムナード
- 2016年
- 「都市を生きるⅱ」ポートレートギャラリー
- 2012年
- 「化生する光景」ポートレートギャラリー 他
- 2003年
- 「凪 (NAGI)」アーティストガーデン
<主なグループ展>
- 2021年
- 「Malta 名もなき光景」
日本大学芸術学部写真学科 教員作品展SKY IV ソニーイメージングギャラリー
- 2019年
- 「奇跡の輝石」
日本写真家協会 2016年度同期入会会員展「resonance」オリンパスギャラリー
- 2018年
-
「いつか空に還る」,「日々、この空の下で~都市に生きる」
日本大学芸術学部写真学科 教員作品展SKY ソニーイメージングギャラリー
「クララの街」
日本写真家協会2016 MEMBERS 写真展「My Works」 アイデムフォトギャラリー シリウス
- 2016年
- 「想い」「ここから」
日本写真家協会2016年新入会員展「私の仕事」 アイデムフォトギャラリー シリウス
- 2014年
- 「風ヲ」ニコン 新宿フォト・プロムナード Df作品展)
- 2013年
- 「都市を生きる」
日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻修了同期3人展 ポートレートギャラリー
- 2011年
- 「生命のうまれるとき」N+N展2011「生命を見つめる」 練馬区立美術館
- 2010年
- 「蒼 空 緑」
日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻修了同期3人展ポートレートギャラリー
6回目となる日本大学芸術学部写真学科専任教員による写真展「SKY VI」を開催させていただくことになりました。
私ども教員は日本大学芸術学部写真学科を卒業した同窓生でもあり、先達の師より厳しく基礎技術を学び、それを踏まえた上で自己表現を展開すべく写真表現を研究し、実践しております。また多くの学生達と向き合い、語り合う中で、幅広い写真の世界に日々接し、試行錯誤をとおし多様な写真表現にトライしています。
写真学科の制作系教員4名の作品を紹介いたします。本職は教員であり教育を中心としながらの制作ですが、作品発表を念頭におき写真制作を継続しており、今回の作品はすべて初めての発表です。
秋元貴美子は、2年ぶり3回目の登場です。この世界を形成する地・水・火・風・空の5つのエレメンツを念頭に世界を観察し、自然、都市、人間という存在のつながりや、見えるもの以上の世界を表現しています。今回は日本の南の島での撮影ですが、その特定の場所を超えた秋元が感知した闇を表現しています。高いプリント技術を有しているにもかかわらず、あえてイメージに合わせ故意に現実とは異なる世界をプリントで強調して表現した作品です。
穴吹有希は、昨年に続き5回目の登場です。新しい技法を取り込み、独自の写真表現世界を創りあげています。今回は2004年から継続しているライフワークで、昨年の作品の流れにあります。穴吹は<いま・ここ>にある現実を撮影しながら、特定のその場所その時間ではなく、穴吹の記憶を再現しています。全ての作品は通常の生活空間で撮影されていますが、通常の視覚ではなくフワッとした違和感を感じさせる工夫がほどこされ、記憶を想起させられる作品です。
服部一人は、3年ぶり3回目の登場です。アフリカのケニアに長期滞在し働いていた経験をもつ服部が、コロナ感染症が猛威をふるう前に、旅人としてアフリカを繰り返し訪れ撮影した作品です。広大な力強く美しい大地と、そこに生きる明るく逞しい人々の姿を伝えてくれます。今回は鮮やかな大地や人々を彷彿させるアフリカの布をもちいたインスタレーション的な展示方法により、アフリカのイメージを写真の背景も含めて表現しています。
八木元春は、昨年に続き2回目の登場です。建築写真の業界で技術を磨いたのち教育に携わりました。人物から風景まで幅広い分野に対応する技術をもちながら、ライフワークとして建造物関係の作品を制作しております。今回はダムを被写体として環境、自然との関係を考察した作品となっています。雪の中のダムの姿を、白黒写真でトーンの美しさを追求しながらも自己のイメージを優先させた独自の世界観を表現しています。
教育という主軸の仕事をこなしながら地道に創作活動を継続している4人の最終仕上げにまでこだわったオリジナルプリントです。展示方法までを含めて、4人の表現世界をご高覧ください。彼らの表現の広さと深さを感じて頂ければ幸いでございます。
末筆となりましたが、会場にお運びいただいた皆様、そしてこのような機会を作っていただいたソニーイメージングギャラリー関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
日本大学芸術学部写真学科
主任・教授 西垣仁美