チャール・ハルマンダル/吉川 彩/小倉 裕基/清水 大輔 映像作品展 Seeing with New Eyes
- 会期
- 2024年6月21日(金)~7月4日(木) 11:00~19:00
チャール・ハルマンダル プロフィール
トルコ、イスタンブール出身
アニメーションアーティスト
2016年にボストンのタフツ大学、2023年に東京藝術大学院映像研究科アニメーション専攻を卒業。現在、東京藝術大学映像メディア学の実践博士課程。
映像作品タイトル:
Chirps
この作品は夏の夜の匂いについて制作されている。
テープ、パステル、マーカー、ペンなどのミクストメディアで作られている。
夏からの小さな瞬間の感情を、詩とアニメーションで表現されている。
吉川 彩(きっかわ あや)プロフィール
鳥取県鳥取市生まれ、トルコ在住のビジュアル・アーティスト。版画、映像、写真などのデジタルとアナログの技法を組み合わせ、過去と現代の表現を探求している。主に、風景の中に見られる信仰の痕跡、記憶と忘却の物語を探求している。
旅と写真は常に作品制作の出発点となっている。イギリスへの大学院留学を機にヨーロッパ・中東を旅し、その土地の宗教観と深く関わった特有の美の感覚に影響を受けた。
映像作品タイトル:
The Afterimage of Remembrance
スペインの海辺の町、カダケスを訪ねたときの記憶。映像制作は、この旅の覚えていること、または覚えていないことを書き起こすことから始まりました。既存の映像を繋ぎ合わせて制作したこの映像は抽象的な形で記憶された、場所がもつイメージをぼんやりと浮かび上がらせます。
インターネット・アーカイブ、プレリンガー・コレクションの映像を使用
ナレーション:村田 香織
清水 大輔(しみず だいすけ)プロフィール
1976年生まれ、福島県出身。
東日本大震災で被災した福島の現状を世界に発信するため、2012年からタイムラプス制作を開始。
“タイムラプスクリエイター”というジャンルを創り出し、タイムラプス専門のクリエイターとして国内外で活動。
TV、映画、CM、観光PR事業、デジタルサイネージなどの映像制作に従事。
信念は「誰かのために、そして後世に残す価値のある映像を作り続けること」。近年は12Kの超高解像度映像の制作にも取り組む。2017年からNHKの“TIME-LAPSE JAPAN”シリーズに出演・映像制作を担当。出演したNHKスペシャル”福島タイムラプス”が第34回ATP賞ドキュメンタリー部門優秀賞を受賞。
映像作品タイトル:
そこにある光
今回展示する映像を通じて伝えたいのは、「世の中にはたくさんの光が存在している」ということです。
夜空や暗い森の中にも、人の目には見えにくい多くの星の光や、揺れ動く木漏れ日があります。タイムラプス技法は一枚一枚の写真を繋ぎ合わせた“動く写真”であり、通常の動画よりも“そこにある光”をより鮮明に可視化し、強く訴える力があると信じています。
東日本大震災をきっかけに2012年からタイムラプス技法の可能性を探求してきました。
当時、故郷福島の一部分が強調され発信される現実に対し、タイムラプス映像で福島の変わらない美しさや希望を伝えたいと思いました。今回の展示作品は、私の「誰かのために映像を作り続けたい」という想いの原点である福島をはじめ、被災地と東北各地の映像で構成されています。
小倉 裕基(おぐら ゆうき)プロフィール
1985年生まれ。青山学院大学法学部在学中に映像制作を開始
2011年に渡米。ロサンゼルス・シティ・カレッジの映画制作コースを修了
2014年から東京でフリーランスの映像作家として活動
2017年にオランダに移住。パンデミックが起きた2020年に帰国
1人で撮影から編集までやっています。英語での取材もできます。海外でドキュメンタリーを作るならぜひご相談ください。
2018年 ハーグ・フィルム・アワーズ(蘭)で『St. Martin』がベストドキュメンタリー受賞
2017年 第31回リーズ国際映画祭(英、米国アカデミー賞公認映画祭)に『STAMPS』が入選
2016年 ニューヨーク・ジャズ映画祭(米)で『THE TRICKSTER 』がベストミュージックビデオ受賞
その他、北米と欧州の映画祭で入選多数。
国内の公募で私の作品が上映されるのは本展示が初めてです。
映像作品タイトル:
MASAKO
この作品は、慣れない土地で楽しくイキイキと暮らすために奮闘する妻のドキュメンタリーです。撮影したのは2017年4月末。オランダに移住して約4 ヶ月が経ち、生活が少し落ち着いてきた頃でした。
当時の私は「映像の本質的価値って何だろう?」という疑問を持っていました。命(時間)を費やして作るわけですから、価値がある映像が作りたかったんです。
でも、この世界にとって価値がある映像とは何かと考え始めたら、範囲が広すぎてわけがわからなくなってしまいました。それなら国にとっては? この街にとっては? もっと範囲を狭くして、隣に住むあの人にとって価値がある映像ってどんなものだろう?
考えていくうちに、「なによりも先に、自分にとって価値がある映像を作ろう」という結論に至りました。そして作ったのが、このMASAKOという作品です。
完成して妻に見せたら、彼女も喜んでくれました。自分のために作った作品が、妻にとっても価値あるものになった瞬間でした。
そんな個人的な作品を、こうしてギャラリーで上映できることをとても嬉しく思います。そして来場者の皆さまもこの作品に何かしらの価値を見出してくださったなら、私はとても幸せです。
旅すること、別の地に居を構えることは、わたしたちに新しい目で見る力を授けてくれます。
そして、人は時を経て同じものを見ても、違って見えることがよくあるものです。時間の経過もまた旅をしているようなものなのかも知れません。
旅を経て例え「旅をしたのに何も見つけることができなかった」と自分は思っていたとしても、きっと新しい目という大きなギフトを手にできているのではないでしょうか。
5回目を迎える短編動画展では、4人のクリエイターの作品をご覧いただきます。