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English ソニーイメージングギャラリー 銀座

第13回公募セレクション作品 橋本 とし子 作品展 それは かげろう

日々の暮らしの中、ふとした目の喜びを感じるとき、驚いたとき、愛おしいとき、写真を撮ってきた。
次々に畳み掛けてくる雑事に、私の記憶が消えてしまわないように。

撮り溜めた写真を眺めていると、水が映り込んだイメージが目につく。
旅先の海、公園の池や街のお堀、豪雨も近年では日常の一部になったからだろうか。

展覧会をお知らせするポストカードに選んだ海と長女の写真を眺めていた時、ふと、かげろうの話を思い出した。
かげろうという虫は、幼虫の間は数年間、清澄な水の中で暮らすが、
ようやく成虫になって、羽化してから交尾・産卵を終えて死ぬまで僅か数時間の寿命だという。
Ephemeropteraという学名も、「一日」と「翅(はね)」という意味のラテン語の造語らしい。

これまで見た数々の情景は、脳裏に消えていった。
17年連れ添った猫は天寿を全うし、子どもたちも今は幼年の姿をしていない。
私が残すことができたものは、ゆらゆらとした無数のかげろうのようなものではなかったか。

橋本 とし子(はしもと としこ)プロフィール

栃木県出身。
高校生の時、父親の二眼レフを譲り受けて写真を撮り始める。
大学卒業後写真を学び、プロラボ、新聞社に勤務後フリー。
以来、旅や身辺の情景をテーマに、雑誌・個展等で作品を発表している。
写真集に『キチムは夜に飛ぶ』ふげん社刊 2018年

【個展】

1998年
「愛すべきものたち」 オランダ館(栃木)
2005年
「ニャーとシャー」 nomado(根津)、nido(谷中)
2007年
「フシーチコナイ・フバヴォ」 スライド上映会 café la famile(結城)、タフドア(宇都宮)、nido(谷中)
2017年
「キチムは夜に飛ぶ」 ギャラリーニエプス(四谷三丁目)
2018年
「キチムは夜に飛ぶ」 出版記念展 ふげん社ギャラリー(築地)

【主なグループ展】

2009年
「LOVE CAT展」 PIPPO(浅草)
2019年
「Monochrome Collection of Fugensha」 ふげん社ギャラリー(築地)
「NEKO project」 IBASHO Gallery(アントワープ /ベルギー)
2020年
「Neko : the cat in Japanese art」 日本博物館シーボルトハウス(ライデン/オランダ)
「コロナの春」 ふげん社ギャラリー(目黒)
2022年
「NEKO project 」 Rossana Orlandi gallery(ミラノ/イタリア)
Villa Bertelli(Forte dei Marmi /イタリア)
2023年
「わたしのともだち ~ 写真家と愛しい存在の物語 ~ Part3」
ソニーイメージングギャラリー(銀座)

【作品掲載出版物】

  • 『Neko Project-Japanese Photographer』Sophie CAVALIERO Iki Edition フランス(参加作品)
  • 『C’est quoi pour vous la photographie?”』Chibi International フランス(参加作品)