日本大学芸術学部写真学科 教員作品展 SKY VII GOTO AKI/鈴木 麻弓/田中 里実
- 会期
- 2024年12月13日(金)~12月19日(木) 11:00~19:00
GOTO AKI(ごとう あき)
terra - Second Eyes -
日本の自然風景をモチーフとする展示作品は、2019年以降発表を続けている「terra」シリーズの延長線上にあり、エネルギーが交差する地球生命の胎動へと眼差しを向けている。
元来、自然には名前はなく人間が期待するような意味もない。「海」や「山」などの言語で規定された領域の外で、同時偶発的に切れ目のないグラデーションとしてその運動は続いている。
海流や風に翻弄されながらシャッターを切り続けると、眼に見えるものと見えないものの境界が、写真の像としてあらわになる瞬間がある。その不規則な連続性は、地球から宇宙へと連なる惑星運動の事象として目の前で展開する。私にとって撮影は、コントロールできない自然をあるがままに受け入れ、写真に翻訳して記憶する行為にほかならない。
地中内部からの放出、揺らぐ水面と雨の衝突、水面下に広がる洞窟世界ーー
こちら側からは見えない動的な自然の運動を写真という装置を通じて眺める時、あなたの眼には何が映るだろう?
1972年生まれ。
上智大学経済学部経営学科・東京綜合写真専門学校写真芸術第二学科卒業。
1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。丸紅株式会社にて天然ガスのパイプライン輸送ビジネスに携わった後、東京綜合写真専門学校へ入学。鈴木清氏、小林のりお氏に学ぶ。
日本の自然風景をモチーフに色彩や造形の調和と明暗の差異による視覚効果を探求し、窓と鏡の視点を行き来する多面的な表現を展開している。
写真集・個展に「LAND ESCAPES」、「LAND ESCAPES FACE」、「terra」等がある。2020年写真展・写真集「terra」(写真集 赤々舎 2019・写真展 キヤノンギャラリーS 2019)にて日本写真協会賞新人賞受賞。日本大学芸術学部准教授。
<主な展示履歴>
個展
- 2024年
- “TERRA 2024- 身体と空間 -” キヤノンギャラリー 銀座・大阪
- 2023年
- “TERRA 2023” 同時代ギャラリー 京都
- 2021年
- “terra” 東川町文化ギャラリー 北海道
- 2021年
- “event horizon - 事象の地平線 -” ふげん社 東京
- 2021年
- “テラ(地球)の声” 日本橋高島屋新館 東京
- 2019年
- “TERRA 2019 [地球相貌]” MYD Gallery 東京
- 2019年
- “terra” キヤノンギャラリーS 東京
- 2016年
- “LISTEN” うしお画廊 東京
- 2015年
- “LAND × FACE” キヤノンギャラリー 銀座・大阪・札幌・仙台・名古屋・福岡
- 2014年
- “element - 時を観る 光の旅 -” キヤノンオープンギャラリー 東京
- 2013年
- “LAND ESCAPES - Japan -” キヤノンギャラリー 銀座・大阪・札幌・福岡
- 2010年
- “LAND ESCAPES” キヤノンギャラリー 銀座・大阪・札幌・福岡
グループ展
- 2024年
- “第45回 SSP展 2024-25” 富士フィルムフォトサロン(東京/大阪/札幌),
富山市科学博物館・明石市立天文科学館 他全10会場 - 2021年
- “写真家はどこから来てどこへ向かうのかー世界を歩き、地球を変換する写真”
(二人展 w/ 西野壮平)Gallery Forest 神奈川 - 2021年
- “日本写真協会賞 受賞作品展” 富士フィルムフォトサロン 東京
- 2020年
- “TOKYO CURIOSITY 東京好奇心2020” Bunkamura ザ・ミュージアム 東京
- 2020年
- “光の中へ” キヤノンギャラリー 東京 大阪
- 2020年
- “東京2020 コロナの春” ふげん社 東京
- 2015年
- “The Photographers 2” キヤノンギャラリー 東京
Video Installation
- 2013年
- “circulation" 逗子メディアアーツ 神奈川、おおすみ芸術祭 鹿児島
- 2012年
- “water silence" 世田谷ものづくり学校 東京、逗子メディアーツ 神奈川、おおすみ芸術祭 鹿児島、佐賀城コミニカ展 佐賀、竹田アートカルチャー 大分、アートセンター 宮崎
鈴木 麻弓(すずき まゆみ)
時の層 — 女川の記憶を辿る
「私にとって『故郷』とは何か?」大津波が故郷を呑み込んだ2011年以降、この問いが私の中に浮かび上がりました。私は写真館の三代目として、女川の移り変わる風景を上空から眺め、過去の記憶と重ね合わせてきました。1960年チリ津波の記録、再建されつつある家々、かつての女川湾、仮設住宅の前で撮られた家族写真、祖父が撮影した婚礼写真——これらすべてが故郷の断片です。
昔の地図や町並みと見比べる中で、町の「変化」と「失われたもの」の重みを感じずにはいられません。新しい家に佇む人々、津波で損傷したスナップ写真、そして先祖の写真を手に取るとき、過去と現在が繋がり、記憶が蘇ります。この『変化』と『喪失』の瞬間に刻まれたものを見つめています。不安と希望が交錯する中で写真を通して、女川の物語が静かに未来へと紡がれることを願っています。
1977年宮城県女川町生まれ。
2001年日本大学芸術学部写真学科卒業。ヴィジュアルストーリーテラーとして、個人的な物語を通し作品を生み出している。
1930年に祖父によって創業された写真館を営む家庭で18歳まで育ち、日本大学芸術学部写真学科で写真を学んだ。卒業後フリーランスとして、ポートレートを中心に活動。
2011年3月11日、東日本大震災が発生し、故郷の宮城県女川町が津波で破壊され、両親が行方不明となった。以降、故郷へ足しげく通い、地域の人々の前に進む姿を記録し続けている。
2017年に自費出版した『The Restoration Will』で欧州のアワード等で注目され、2022年には自身の不妊治療の経験を描いたシリーズ『豊穣』を発表。
現在は『The Restoration Will』の続編となる女川の物語を制作中。
<主な展示>
- 2024年
- “Reflection – 11/03/11”(アルル国際写真祭、フランス)
- 2024年
- “TRANSCENDENCE”(アルル国際写真祭、フランス)
- 2022年
- “10/10現代日本女性写真家たちの祝祭”(KYOTOGRAPHIE)
- 2020年
- “あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17”(東京都写真美術館)
- 2018年
- “The Restoration Will/The Place to Belong”(Galeria Miejska Arsenał、ポーランド)
<受賞歴>
- 2018年
- PHOTO ESPAÑA 年間写真集最優秀賞 国際部門(スペイン)
- 2017年
- Aperture財団PHOTOBOOK AWARD first photobook部門ショートリストtop20(NY, USA)
- 2017年
- PHOTOLUX主催 Photoboox award グランプリ(イタリア)
- 2017年
- LUMA RENCONTRES DUMMY BOOK AWARD ARLESショートリスト(アルル、フランス)
- 2017年
- Kassel Dummy Award ショートリスト(ドイツ)
- 2016年
- HARIBAN AWARD 審査員賞(京都、日本)
田中 里実(たなか さとみ)
山精木魅(さんせいもくび)
人類は木々と共に生きてきた。
時には暖をとり
時には風雨から身を守るために
時にはその美しさに心を鎮め
時にはその荘厳な姿から神を感じ崇めた
人は果てしない自然に帰ってゆく
その指標とは一本の木なのかもしれない
1960年石川県生まれ。
航空自衛隊航空学生、一般企業勤務などを経て40歳を過ぎてから日本大学芸術学部写真学科に入学。同校大学院を経て、現在日本大学教授として勤務。大学では写真の基礎を中心に指導を行っている。自身の研究テーマとして「19世紀初期写真技法」の研究を行うと同時に、それらの技法を現代写真表現に活かせる方法論を研究そして作品制作に取り組み、さらに写真の記録性を重視し、8×10インチの大型カメラから35ミリカメラまで使用して銀塩黒白写真を用いた制作も行なっている。
公益社団法人 日本写真協会会員、日本写真学会理事、日本写真芸術学会理事
<主な展示>
- 2024年
- “木とはなす” 共同制作 奴奈川キャンパスギャラリー
- 2022年
- “FC越後妻有” 奴奈川キャンパスギャラリー
- 2021年
- “Salt and Egg” GELLERY STORKS
- 2020年
- “日本大学芸術学部写真学科教員作品展 SKY Ⅲ” ソニーイメージングギャラリー
- 2019年
- “夢幻泡影” GELLERY STORKS
- 2019年
- “日本大学芸術学部写真学科教員作品展 SKY II” ソニーイメージングギャラリー
- 2019年
- “室野今昔−昭和33年から47年の室野そして令和元年” 奴奈川キャンパスギャラリー
- 2019年
- “Paris perspective Atget et Marvill” GELLERY STORKS
- 2018年
- “日本大学芸術学部写真学科教員作品展 SKY” ソニーイメージングギャラリー
- 2018年
- “大地と生きる” 大地の芸術祭(新潟県十日町市)共同制作
- 2017年
- “私たちの職場から” 第30回日本老年泌尿器学会
- 2016年
- “35×35写真史の旅” GALLERY STORKS
- 2015年
- “Entrance・Geometry” グループ展 池袋WACCA
- 2014年
- “インタセクションプロジェクト − 平行する交差点”
- 2013年
- “鉄・彫・写” 星と森の詩美術館 鞍掛純一共同制作
出展者:GOTO AKI、鈴木 麻弓、田中 里実