第14回公募セレクション作品 この雨が地維より湧くとき
- 会期
- 2025年1月10日(金)~1月23日(木) 11:00~19:00
【事前予約制・人数限定】ギャラリートーク開催のお知らせ(参加無料)
閉館後に、事前予約制の人数限定にて鹿野貴司さんによるギャラリートークを開催します。
オンライン予約による先着受付順(23名)です。下記申し込みボタンより、お申し込みください。
開催日時
- 2025年1月11日(土) 19:15~20:15
ゲスト:三村漢氏(アートディレクター)申し込む
開催場所
ソニーイメージングギャラリー 銀座 (銀座プレイス6階)
※予約受付は、 Peatix Japan株式会社のサービスを使用します。そのため、外部サイトPeatixのウェブページに遷移します。
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- 受付はPeatixでご自身の分のみ可能です。複数名分の予約や、電話での受付、ギャラリーへの直接の申し込みはできません。
- 定員に達し次第予約の受付は終了となり、キャンセル待ちは行いません。また、予約のないお客様はご参加いただけませんので、予めご了承ください。
- Peatixでのお申込みを確認できるもの(スマートフォン等の画面、プリント等)をご用意ください。
- 19時以降はエスカレーターをご利用いただけませんのでエレベーターで6階までお越しください。
- トーク中は記録のため、動画撮影を行います。
- 写真撮影は他のお客様にご配慮しながらお願いします。(動画撮影、録音はお断りさせていただきます)
- トークが終了次第閉館となりますので、速やかにご退出ください。トーク終了後には展示をご鑑賞いただく時間がありませんので、事前または別の日にご鑑賞くださいますようお願いします。
- お申込後ご都合が悪くなってしまった場合は必ず申込サイトよりキャンセルをお願いいたします。
南アルプスに抱かれ、広い町域の96%を森林に覆われた山梨県早川町は、日本でもっとも人口の少ない町でもある(2024年10月1日時点で876人)。僕は縁あって10年以上この町に通い、これまでおよそ850人の町民を撮影している。そこで強く感じるのは、老若男女問わず、早川町の人々はみな肌のつやがよいことだ。とくにおじいさんおばあさんは実年齢よりずっと若く見える。その理由だが、僕は水にあると思う。
早川町には主な集落ごとに水源があり、その数は22か所。住民たちが自らの手で維持管理している。蛇口から出てくるのは、南アルプスの“ほぼ”天然水だ。湧水もあちこちの山裾にあり、遠くから汲みにくる人の姿も見かける。それらの水はおよそ20年前、急峻な山々に降った雨。木から土、そして岩をくぐり抜けた清冽な水が、人々の身体へと沁み入っていく。
町内から甲府盆地の高校へ通っていた人が、学校の水道水が口に合わず、自宅から水を持参していたという話を聞いたことがある。甲府盆地は全国屈指の晴天率を誇るが、山ひとつ越えた早川町の年間降水量はその倍近くあり、豪雨や台風による災害も多い。一方でそれは恵みの雨として、動植物たちを育む。獣や魚を獲り、畑を耕し、余れば近所へお裾分け。コンビニもスーパーもないこの町では、自給自足に近い暮らしもとりたてて珍しくはない。それとは対照的にリニア中央新幹線の工事も進むが、時速500kmでリニアが駆け抜けるようになっても、それは変わらないように思う。
山とともに生きることは、雨とともに生きること。今も雨乞いの風習が残る集落では、日照りが続くと太鼓や鍋を叩き、空へと祈りを捧ぐ。そして降る雨は森へと消え、ひとすじの地維となってふたたび湧くときを待つ。