コストを抑え、機能を拡大して導入を促進
“FeliCa Lite(ライト)”の次世代製品、“FeliCa Lite-S” ICカードチップを開発
2011年11月11日
ソニーは、コストを抑えてカードやカード以外の様々な形状で利用できる“FeliCa Lite”の次世代製品として、“FeliCa Lite-S”を開発しました。2012年春の製品化を予定しています。
FeliCa Liteは、セキュリティー機能を簡易化し、ファイルシステムを最適化することでコストを抑えた小型で省電力の非接触ICカードチップです。タグやシールなどの様々な形態で利用することにより、非接触ICカード技術FeliCaの適用範囲が広がります。FeliCa Lite-Sはこの従来のFeliCa Liteと互換性を保ちつつ、セキュリティーの機能を向上し、さらにチップを小型化することによりさらなる低価格化を実現しました。用途としては、シングルジャーニーチケットやイベントチケット、IDカード、ポイント/ギフトカード、ゲームカードへの適用の他、NFC フォーラム Type 3 Tagとして、NFC搭載機器とともにスマートポスターやコネクションハンドオーバーなどの応用が想定されます。
また本製品は、従来からのFeliCa技術の無線通信、及びコマンド体系の一部を用いているので、すでに普及しているPC向けFeliCaポートやFeliCa対応リーダー/ライター、おサイフケータイ®のインフラを活用することができます。
ソニーは、本製品を幅広い用途の商品やサービスに適用することで、FeliCaを通じ、“かざす”ことによってより多くの利便性をユーザーに提供する環境を拡げ、新しいサービス、ライフスタイルを創出してまいります。
特長
- FeliCa Liteとの下位互換性を保持しつつ、MAC※1を活用した相互認証機能を追加
FeliCa Lite-Sは、FeliCa Liteのリードアクセス権制御に加えて、MAC付き書き込み機能追加によるライトアクセス権制御、及びライトデータの改ざん検知を実装しています。MAC付き読み出し機能とMAC付書き込み機能を組み合わせることで相互認証を実現できるため、使い勝手が大きく向上しています。※1: MAC: Message Authentication Codeの略称
- NFCフォーラム※2Type 3 Tag準拠
適切なデータを格納することにより、NFCフォーラムで規定されるType 3 Tagに準拠します。NFCフォーラム仕様に対応した携帯電話やリーダー/ライターとの通信が可能です。※2: 近距離無線通信規格NFC (Near Field Communication) の実装と標準化を促進し,デバイス,サービス間における相互運用性の確立を目的とする評議会。2004年に設立。
- アンチブロークントランザクションとデータインテグリティ・チェックファンクション
データ書き換え時に、新しいデータを確実に書き込んだ後で古いデータと置き換えるアンチブロークントランザクション機能を搭載し、不完全なデータの書き込みを防止しています。また、各ユーザーブロックのデータ(16バイト)に加えて、データチェック符号(CRC)を用意しており、万一データにエラーが発生しても、チップ内で自動的に検出可能です。
- 既存のFeliCa対応製品を利用可能
従来のFeliCa対応製品と同じ無線通信方式を用い、またコマンド体系は下位互換性を有しているため、FeliCaポートやおサイフケータイ®等の既存のインフラやSDK for NFC/FeliCa等の既存開発環境が利用可能で、開発コストを抑えられます。
主な仕様
(従来のFeliCa Lite ICチップとの比較)FeliCa Lite-S ICチップ | 従来のFeliCa Lite ICチップ (RC-S965) |
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通信方式 | ISO/IEC 18092 (212 kbps/424 kbps passive mode)に準拠 | |
動作周波数/変調方式/ビットコーディング | 13.56 MHz / ASK変調/ マンチェスター符号化方式 | |
通信速度 | 212 kbps/424 kbps 自動切り換え対応 |
212 kbps |
ユーザーメモリー(不揮発性) | 14ブロック + 減算用1ブロック (1ブロックは16バイト) | |
メモリー分割機能 | 無し | |
リーダー/ライターとの認証方式 | トリプルDESによる相互認証 (FeliCa Standardとは別方式) |
トリプルDESによる片側認証 |
リードアクセス権制御機能 | 有り | |
ライトアクセス権制御機能 | 有り | 無し |
通信路の暗号化 | 無し | |
搭載コマンド | 暗号化非対象コマンドのみ(Polling, Read w/o enc., Write w/o enc.) |
※上記仕様は今後変更される可能性がありますので、予めご了承ください。