• TOP
  • >
  • gallery
  • >
  • 導入事例 ソニーと、デンマークに本社を置くTAGARNO社との緊密な共同開発によって生まれた、4K/60 fpsカメラを搭載する世界初のデジタル顕微鏡

ソニーと、デンマークに本社を置くTAGARNO社との緊密な共同開発によって生まれた、4K/60 fpsカメラを搭載する世界初のデジタル顕微鏡

CASE STUDY

デジタル顕微鏡の性能は、ディティールを明確に可視化し、倍率、イメージキャプチャを可能にする最高品質のカメラの搭載により、物体や表面、試料など用途に応じた超高精細検査ができるかどうかによって決まります。
2009年からデンマークのTAGARNO社(世界有数のデジタル顕微鏡メーカー)と共同開発を進めているソニーは、この分野における技術革新に長年携わっており、その歴史は群を抜いています。この協力関係のもと、TAGARNO社のデジタル顕微鏡は今やエレクトロニクスから医療科学まで、様々な業界で活用されています。

特にエレクトロニクス業界では、TAGARNO社のデジタル顕微鏡がプリント基板の検査や品質管理、修理において大変革をもたらしてきました。例えば、はんだ付けなどの作業では、熟練工がプリント基板を様々な向きに動かして、製造中に生じた問題を同社の顕微鏡による滑らかなライブ映像にて映し出し確認が可能です。それによって、見つかった問題や発見を熟練工が簡単に文書化、保存したり、技術担当者に転送したりすることができます。また、できるだけ多くの文書を作成することを目的とした初回品の検査、研究開発用途や、プリント基板の解析、コンフォーマルコーティングや部品のアライメントのチェックといった品質管理用途にも同社のデジタル顕微鏡が活用されています。つまり、デジタル顕微鏡はエレクトロニクス産業の根幹を支える、非常に万能なツールなのです。

TAGARNO T50

しかし近年になって、4K解像度を備える第一世代の他社製デジタル顕微鏡 “30 fpsビジョンシステム”の性能では、実際の顕微鏡映像とモニターに表示される映像との間に著しいタイムラグが生じやすく、操作上の不快感による作業効率の低下を招いています。このような映像の遅延は、顕微鏡使用者が注意散漫になる原因になるばかりか、乗り物酔いのような不快感や疲労につながることが知られています。

TAGARNO社が目指したのは、このような技術的欠点を解消した4K製品の発売でした。同社は、カメラ技術の進歩を利用してデジタル顕微鏡の性能を向上させて、タイムラグのない超高画質の映像をリアルタイムで提供したいと考えていたのです。この機能を実現するには、リアルタイムの可視化を実現し、顕微鏡検査に携わるプロフェッショナルの生産性を向上させることのできる、これまでにない60 fpsの4Kカメラが必要でした。そのような性能を実現するために、TAGARNO社が目指すあらゆる基準を満たしたデジタルカメラの開発依頼先として選んだのが、日本のソニーでした。

TAGARNO社で研究開発責任者を務めるAnders Ravnskjær Pedersen氏は、「実際の顕微鏡映像とモニターに表示される映像のタイムラグの問題を克服するためには、4K/60 fpsカメラを搭載したデジタル顕微鏡が欠かせないだろうということを、当社は認識していました」と振り返ります。「私たちは、画期的な性能を提供できるという確信が持てる製品だけを発売したいと思っていました。」

「様々な期待に応えるためには、他のメーカーが従来の4K顕微鏡でたびたび直面していた課題を克服できる、ビジョンシステムのスペシャリストと協力する必要がありました。私たちは、圧倒的な鮮明さ、精密さ、最先端技術、リアルタイム表示を提供できる、これまでにない60 fpsの4Kカメラを搭載した世界初のデジタル顕微鏡を発売したいと考えていました。そこで、長年にわたってとても素晴らしい関係を築いてきた、信頼できるパートナーであるソニーに依頼を決めたのです」

その期待に応えたソニー

2009年に世界初のHDデジタル顕微鏡を発売して以来、TAGARNO社はソニーのカメラを使用してきました。その長年の協力関係に基づいて、4K/60 fpsの性能を実現するための理想的なソリューションであると判断された4K FCB-ER9500カメラの評価が始まったのです。新型レンズやイメージセンサー、イメージシグナルプロセッサーを採用したこのカメラは、極めて高い視認性を実現するために開発されたもので、省サイズを達成しながら25倍の高度光学ズームと12倍のデジタルズームを備えています。また、新たに開発されたスーパーイメージスタビライザーを搭載することで、従来機種に比べてブレ補正が大幅に改善されています。

評価の結果、FCB-ER9500は4K/60 fpsの性能を実現するために必要な属性をすべて備えていることがわかりました。しかし、カメラだけでデジタル顕微鏡は作れません。目標の新製品を誕生させるためには、ソニーとTAGARNO社でさらなる徹底的な研究開発が必要でした。例えば、制御インターフェースなどの要素に関わるカメラの重要な性能基準についての深い知識が、開発プロセスにおいて極めて重要な役割を果たしました。

「顕微鏡の可能性を十分に引き出すためには、データ処理などの要素において技術的な課題を克服する必要がありました」とAnders Ravnskjær Pedersen氏は語ります。「また、最高品質の可視化を実現するのと同時に、自動高さ調整などの新機能を導入することで、人間工学的に身体に優しく、本当に使い心地の良い顕微鏡にしたいと願っていました」

ソニーの視点から見ると、この共同開発の取り組みは、両社の技術チームが築き上げてきた互いに対する尊敬の念を示すものでした。組織の規模は全く異なりますが、デジタル顕微鏡の分野で市場をリードしているTAGARNO社の地位をソニーは常に認知しており、新しい顕微鏡の開発プロセスを加速させるために、FCB-ER9500カメラの早期生産バージョンを製作する用意がありました。

カラーカメラブロック
FCB-ER9500

ソニーで欧州担当シニアマーケティングマネージャーを務めるMarco Boldriniは、「FCB-ER9500カメラは、TAGARNO社の4K/60 fpsの要求に完璧に応えるソリューションでした」と振り返ります。「インテグレーションに関わるあらゆる課題を一刻も早く克服するために、私たちは協力し合って取り組む必要がありました。検査に関する難問を、ビジョン技術を応用して解決するために、私たちの知識を結集し、献身的な姿勢で取り組んだ結果、4K/60 fpsのデジタル顕微鏡の性能に革命をもたらすであろう、素晴らしい製品が誕生しました」

世界に向けて4K/60 fpsの顕微鏡を発表

TAGARNO社は、ドイツのミュンヘンで開催されるproductronica展示会で、60 fpsの4Kカメラを搭載した世界初のデジタル顕微鏡を発表しました。今回の共同開発は他のビジネスチャンスにもつながると期待されています。TAGARNO社は今後数年のうちに、新型顕微鏡にAI機能を組み込むことを検討しているほか、フレキシブルアームやロボット顕微鏡などの用途でも期待の膨らむ開発を計画しています。そのような機能が、新たな市場や用途を開拓するきっかけになるかもしれません。

今回のプロジェクトの成功は、ソニーとTAGARNO社の継続的な協力関係を証明するものであり、この先も長く続くでしょう。ソニーの欧州担当シニアマーケティングマネージャーであるMarco Boldriniは、「今後もTAGARNO社がデジタル顕微鏡分野のリーディングカンパニーであり続けることができるよう、ビジョンシステムに関する当社のノウハウを活用していきたいと思います」と締めくくりました。

*この記事は弊社ヨーロッパの販売会社の記事を転記しています。
*この記事は2024年1月時点のものです。
*FCB-ER9500は2025年1月発売予定。

関連製品

デモ機の貸し出し、お見積もり、およびご購入は特約店へお問い合わせください。

Image
Sensing
Products

安心安全な世界を創る