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ソニーのカメラ技術による『低照度時性能と高解像度』が養魚場モニタリングにもたらす革命

CASE STUDY

魚の養殖は、増加し続ける世界の食料需要に対応するために欠かせないものです。世界各地で行われている事業として、養殖業は現在6%に近い年平均成長率(CAGR)を記録しており、米国の市場調査会社Allied Market Research社は2027年までに3780億ドルの規模に成長すると見込んでいます。そのため、養殖では漁獲量や収益性を最大化するために、養殖魚の品質を確保する必要があり、これには、高度な観察システムを利用できることが不可欠です。

ノルウェーのImenco社は、海中工学を専門とする企業です。Imenco社の開発する製品は、石油探査向けの遠隔操作車両ROV(Remotely Operated Vehicle)をはじめ、さまざまな用途に使用されています。水産養殖も、同社の製品が得意とする主要分野の一つであり、北欧の多くの養魚場が同社のビデオ映像技術を利用しています。

2021年前半に同社は次世代水産養殖モニタリングソリューション「Pixelite」に取り組み始めました。既存ソリューションからの大幅なアップグレードとなる同製品は、主要性能パラメータの数々を改善・改良しています。注目すべきは、この「Pixelite」が養殖業に4Kビデオ映像機能を初めて提供するモニタリングシステムとなることです。

Pixelite水中カメラユニット

Pixeliteを使用することにより、養殖魚の鱗に生じる皮膚疾患の有無や給餌パターン、動き、行動全般を含む養殖魚の状態をリアルタイムで確認することができるため、養殖魚の健康を保つために必要な一連の作業を的確に行うことができます。高解像度画像から餌のペレットを検知・計数することで、給餌パターンと養殖魚の食欲を分析します。さらにPixeliteは、生簀の網に損傷がないか確認するとともに、生簀網の底に沈んだ死魚の数を計数します。これによって、定期的に死魚を生簀から除去することができます。

Imenco社の設計したPixeliteは、一台につき一対のPTZ(パンチルトズーム)カメラを搭載し、これらのPTZカメラは高耐久性の防水筺体に格納されます。各Pixelite製品はウィンチ機構に取り付けて上下左右に動かすことができるため、生簀網のみならず、さまざまなエリアを確認できます。

このような構想のPixelite開発を成功させるには、過酷な状況下でも高品質な動画ストリーミングを提供できることが必要でした。そこでImenco社は最適なサプライヤーを選択する必要がありました。ソニーとは、数十年にわたって既に強固な関係を築いていたため、Imenco社の水産養殖チームはソニーのカメラをPixeliteプロジェクトに採用することを2021年の春頃から検討していました。ソニーのスカンジナビアにおけるシステムインテグレーターの一つが、初期テスト実施用に、HDMI出力付きのFCB-EW9500H 4メガピクセルカメラのプロトタイプをImenco社に持ち込みました。Imenco社は他社カメラも検討していましたが、FCB-EW9500Hのカメラの特性が圧倒的に優れていることが明らかであったので採用に向けて検討しました。

Imenco社の必須要件

Imenco社が最優先とする必須要件は、低照度時でも安定して高画質画像を得られるかということでしたが、カメラユニットは水深50m以上で動作するため、光がほとんど入ってきません。加えて、養魚場の多くが極北にあるため日照時間が短く、低照度の問題はさらに重大でした。

画像から養殖魚の冬期の皮膚潰瘍や、餌ペレットを検知するには非常に高い解像度が必要です。さらに、業界最高レベルのズーム機能も必要となります。また、水中では養殖魚や海水の動きもあるため、揺れに強い安定した映像の実現も課題の一つでした。更には使用カメラには低遅延性が求められると共に、長期間の信頼性も非常に重要な要件でした。Imenco社は、難易度の高い環境に設置しても正常な動作を継続できるカメラを必要としており、同社の顧客に製品の修理・交換の手間をかけないようにするためにも重要なことでした。

カラーカメラブロック
FCB-EW9500H

ソニーの技術と専門知識の活用

FCB-EW9500Hカメラは、サイズわずか1.3cmほどの第4世代STARVIS™ CMOSイメージセンサーを搭載しています。独自のピクセル設計の採用によって実現した高い量子効率により、多くの入射光を導くことができます。FCB-EW9500Hのイメージセンサーは低遅延性にも優れているため、ビデオ映像ストリームを高速更新することが可能となっています。Imenco社が着目したFCB-EW9500Hカメラの特長には、30倍エンハンスド光学ズームもありました。これによって、養殖魚の表面を詳細に観察することができることから、皮膚の瘍などの有無の確認が可能となり、さらにスタビライザー機能が提供するブレ補正もこれに寄与します。

Imenco社のプロジェクトマネージャーであるAssel Ryspaeva博士は、「ソニーが実現した低照度時性能に匹敵するカメラは他になく、ソニーのカメラの強さはまさにここにあると言っていいでしょう。低照度時性能と、ソニーが培ったノウハウのおかげで、プロジェクト開始時に定義したすべての目標を達成することができました。また、テスト時のソニーのサポートも大きく貢献しました」と述べています。

水中の魚達を表示した画像

Imenco Insightソフトウェア

今後の展望

初期テストの成功を受けて、2021年の夏にFCB-EW9500Hのプロトタイプが追加提供されました。Pixeliteカメラ単独、およびImenco Insightソフトウェアシステムとの統合テストを含め、同年11月までに詳細テストが完了しました。現在は、PixeliteもImenco Insightソフトウェアも市販されており、Imenco社の顧客が試験運用を行っています。今後の大規模な展開は2022年夏ごろから行われる見通しです。

*この記事は弊社ヨーロッパの販売会社の記事を転記しています。
*この記事は2022年4月時点のものです。

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