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Quantum Aviation社に聞く自律飛行型無人航空機UAV(Unmanned Aerial Vehicles)向けカメラシステムの実装

CASE STUDY

スコットランドのグラスゴーに本社を置くQuantum Aviation社は、航空安全に関する技術を専門としています。防衛関係や政府機関を顧客に持ち、重要インフラ(石油精製所、空港等)を潜在的な航空上の脅威から保護する航空保安ソリューションを提供しています。同社は、CEOであるMartin Lanni氏によって2013年に創立されました。
Sony ISSのプロダクトマネージャー、Marco Boldriniが、Quantum社の最新ドローンソリューション、AI搭載クワッドコプター「Raptor」について、Martin Lanni氏と同社のCTOであるWill Robley氏に行ったインタビューをご紹介します。

Boldrini

BoldriniQuantum Aviation社についてご紹介いただけますか? 立ち上げた経緯についてもお聞かせください。

Lanni氏

Lanni氏以前軍務に就いていた経験から、航空環境の複雑さや、航空環境の抱えるさまざまな特有の課題についても深く認識していました。会社を設立する前に、2012年のロンドンオリンピックの警護の一環で、航空に関する潜在的なテロ行為対策に関わっていたほか、世界各地で数々の航空プロジェクトの計画や実施に携わってきました。有害効果をもたらすドローンやその他航空機の使用による攻撃の危険性が増している現在、私たちの専門性が強く求められていると感じました。

Robley氏

Robley氏英国内務省の依頼を受けて、Quantum Aviation社は、カタールで開催されるFIFA 2022ワールドカップの準備に関して、有効なドローン対抗策を講じるための重要インフラの必要性を改めて主張する戦略的アドバイスを行いました。現在は、フラッグシップモデルであるRaptorを筆頭に、特殊ドローンの製造業者としての地位を固めつつあります。私たちが得た貴重な適用知識もありますが、Quantum Aviation社には優秀なソフトウェアエンジニアやロボット工学の技術者が揃っていることも強みとなっています。さらに、当社では「スルーライフ(生涯)」アプローチを採用しています。これはつまり、提供する技術に加えて、お客様をプロジェクトの全継続期間においてサポートするということです。

Quantum Aviation社の
対ドローンシステムRaptor

Boldrini

Robley氏Raptorプロジェクトの目的についてお聞かせください。

Lanni氏

Robley氏Raptorは、インフラや運営を破壊・妨害しようとするドローンの脅威を緩和するための対抗手段として開発されました。運用者によって脅威が特定されると、Raptorが対象物を検知・追跡し、命令を受けると自律的に迎撃を開始して脅威を無力化します。Raptorには強力な画像処理装置(GPU)が搭載されています。GPUは、取得した画像データに、当社チームが構築した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アルゴリズムを適用します。ただし、これには高品質な画像データが必要です。当社のサプライヤーであるOEM Automatic社を通じてソニーを紹介された後、この必要データのためにソニーのカメラ技術を使用することについてソニーと詳細な話し合いを始めました。

Boldrini

BoldriniソニーのFCB-9500シリーズを採用する前に、ほかにどのようなソリューションを検討されたのでしょうか?

Robley氏

Robley氏多数の既製品の機械視覚システムや高性能ドローンカメラで広範な試験を実施してきましたが、どれも当社が必要としている性能レベルには達していませんでした。そのため、ソニーを選択しました。

Boldrini

BoldriniFCB-9500シリーズの中で、どのモデル・インターフェイスを採用されていますか?

Robley氏

Robley氏最新のFCB-EW9500Hを採用しました。理由はHDMI出力対応だったことが、プロジェクトのニーズにぴったりでした。

Boldrini

RBoldriniこのカメラの高ダイナミックレンジや低照度時性能がRaptorに特に重要だったのでしょうか?

Robley氏

Robley氏そうです。高解像度に加え、低照度にも対応できることは間違いなく重要ポイントでした。また、Raptorは遠く離れた小型の対象物も素早く識別しなければいけないため、ズーム性能も重要性の高い要素でした。このようなドローンは、幅がわずか0.3m以下と小さい場合や、300m以上離れている場合もあります。確実な識別は絶対に欠かせないものですので、カメラがGPUに送る画像データに妥協はできませんでした。

RaptorのFCB-EW9500H搭載視覚システムによるドローン追跡の様子

Boldrini

BoldriniRaptorに採用するカメラを決める際には、性能以外に省スペース性や重量も重要な採用ポイントだったのでしょうか?

Robley氏

Robley氏Raptorの総重量は6kgです。人ひとりで問題なく運べるぐらいの大きさと重さでなければならないので、比較的軽量な構成部品を使うことは明らかにメリットになります。Raptorの設計の課題の一つが、限られたスペースの中にどうやってすべてを格納するのかということでしたが、性能を犠牲にすることなく小型カメラを搭載することはもちろん重要でした。
Quantum Aviation社のRaptorは現在最終テスト中であり、本年中の発売が予定されています。

FCB-9500シリーズについて

UAV展開に最適なモデルであるソニーのカラーカメラブロックFCB-9500シリーズは、S/N比50dBの高感度を誇ります。これによって低照度時でも動作可能となっています。FCB-9500シリーズには、ソニーの417万画素、1/1.8型STARVIS™ CMOSイメージセンサーを搭載し、反射防止コーティングによって、常に明瞭な画像が取得できます。イメージスタビライザー機能は、振動の強い状況下でもブレを抑制します。

カラーカメラブロック
FCB-9500シリーズ

高性能カメラブロックFCB-9500シリーズは、新ズーム方式のエンハンスドズームを採用し、光学30倍と同等のズーム倍率と画質を実現しています。省スペース(寸法:56mm x 64mm x 125 mm dimensions)で、重さもわずか439g。消費電力も6.3Wと少なく、バッテリー駆動の適用例に最適です。動作温度範囲も-5°C~+60°Cが保証されており、過酷な使用環境でも使用することができます。

*この記事は弊社ヨーロッパの販売会社の記事を転記しています。
*この記事は2021年12月時点のものです。

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